13/10/22 23:37:15.59
『ロード第9章』
ちょうど一年前に あの山を登った夜 昨日の事のように 今はっきりと想い出す
大雪が降ったせいで 山は凍えている どこまでも続く白い稜線が綺麗で
テントの中の君は まるで子供のように 微笑みを浮かべたまま 眠れる山のウマシカ
ゆすって起こした僕を 恨めしそうににらんで マンの手を握り返し「酸素よろしく…」と言った
何でもないような事が 幸せだったと思う
何でもない夜の事 二度とは戻らない指
舌が爛れたと君は 戸惑いながら話し うつむき口を閉じて 深いため息を吐く
シェルパが来るのを待って 皆で下りよううかと 困るマンに抱きつき いつまでも泣きついてた
何でもないような事が 幸せだったと思う
何でもない夜の事 二度とは戻らない指
秋も終わりに近づき 下りたての山の下 突然闇におとした 悪夢のような指先
病室のベットの上 まるでコアラのように 微笑みを浮かべたまま 眠れる栗の阿呆
ちょうど一年前に あの山を登った夜
あの時と同じように アンチがウロついてる
何でもないような事が 幸せだったと思う
何でもない夜の事 二度とは戻らない指※
※栗返し