12/10/08 17:00:52.64
さて、昨日「雪が積もるとマズいことに…」と記したのは、雪による事故を心配したからだ。
昨夜はなんと涸沢のテントは1100張り(!?)を数えたらしく、涸沢ヒュッテと涸沢小屋の宿泊と併せると涸沢に約2500人、
それに稜線の小屋の宿泊も入れると3000人近い登山者がこの穂高にいたことになる。
もちろんその全ての方々が雪の危険個所を歩かれるわけではないのだが、何か事が起こって不思議ではない。
それが、やはり起きてしまった…
今朝は夜明け前から岐阜県警の穂高常駐隊員が、
「今朝の稜線は積雪のため行動困難です。縦走はお控え下さい。」との呼びかけを行っていたのだが、
その声が届かなかったのか、穂高岳山荘から北穂へ向かった3名パーティの内のひとりが最低コル付近で滑落、重傷を負った。
このレスキューには北穂小屋の足立さん達が出動してくださったのだが、
相変わらずの冷静な判断と的確な処置で、ギリギリの天候のなか現場からヘリ救助がなされた。
北穂の足立さんは滝谷をはじめ数々の難所でのレスキューを担ってきた大ベテランで、僕が尊敬し見習う小屋番のひとりである。
いつも控えめで、決して多くを語らない足立さんだが、
大自然の中で、時に素晴らしい景観に出会うことのできる小屋で働けることを「特権」と表現する。
そして、こう云うのだ、「特権には義務が伴う。だから登山者の命を守る救助活動は続けていかなくてはならない。」と。
およそ北穂周辺での救助活動というと非常に困難なケースが多い。
その計り知れず危険度の高い中で30年以上のキャリアを持ち、周辺を知り尽くした足立さんであればこそ救えた遭難者も数多いと思う。
たまたま今日はザイテンからレスキューを傍受していたのだが、
微妙な諸条件のなかでの、まさにギリギリの収容タイミングであり、足立さんの好判断が光った救助であったと思う。