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【寄稿】大阪大学名誉教授・神林恒道 那智の滝事件 2012.8.26 08:37
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>ところがつい先ごろ、この伝統的精神文化のシンボルに
>カム(登攀(とうはん)用の金属製の器具)を打ち込み、
>滝登りを企てて逮捕された不埒(ふらち)者がいた。
>立ち入り禁止の札を無視しての暴挙であるから、明らかに確信犯的な売名行為である。
>国際的なタイトルをもつアルピニストと称しているようだが、とうていそのような資格はない。
>その後、クライマーは頭を丸めて謝罪したそうだが、
>当初はこの滝が世界遺産に登録されていると知っていても、
>神域を冒涜(ぼうとく)したという自覚はなかったようだ。
>この事件の本当の恐ろしさは、聖なるものへの感覚の欠如であり、
>そうした現代人の精神の荒廃ではなかろうか。
>パフォーマンスとして面白ければそれでよいというのだろうか、
>マルローが生きていたら、どう反応しただろう。
>伝統の否定と破壊が文化の創造に通じるなどといった時代は、とうの昔に過ぎ去った。
>たがの緩んだ今日の文化状況のなかで、もう一度固有の文化的伝統を顧みて、
>次の世代にしっかり伝えていくのが、われわれの義務である。
>神林恒道 かんばやし・つねみち 昭和13年、新潟県出身。
>大阪大学名誉教授、新潟市会津八一(あいづ・やいち)記念館館長。
>京都大学文学部卒、同大学院美学専攻博士課程中退。
>大阪大学教授、立命館大学教授を歴任。
>専門はドイツ・ロマン主義美学、日本近代芸術学。日本美術教育学会会長。