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世界最高峰のエベレスト(8848メートル、中国名チョモランマ)に2度目の登頂を果たした富士河口湖町河口の登山家・
渡辺玉枝さん(73)が帰国した。自身が持っていたエベレスト登頂の女性最高齢記録更新について、心境を聞いた。(横山耕太郎)
周囲が偉業をたたえる中、「年齢なんて気にしてません」とさらりと言い切る。「最高齢って言われても年をとってるだけで、
あんまりうれしくありません」とも。
10年前はネパール側から登ったが、今回は中国側からのルートを選んだ。5月18日午後9時、約8000メートル地点からアタックを開始した。
雪原の次は岩交じりの登山道。強い風に苦しみながらも、翌19日午前7時に世界一の頂を制した。長さ約10メートルの帯状の
最高地点を踏みしめ、「10年前と変わっていない」と確認し、達成感がこみ上げた。
「エベレストの群を抜く高さにひかれて挑戦した」という10年前、登山のパートナーと2人きりで世界で最も高い地点に立って景色を
満喫した。「山は見る場所が変わると全然違う姿を現す。エベレストも別のコースで登ってみたい」と思って決めた2度目の挑戦。
「予想外の危険はなかった」と淡々と振り返る。
1965年に初めて登った山は、2月の谷川岳。「頂上は真っ白な銀世界。素晴らしい景色を見てしまった」と感動して以来、
登山にのめり込んだ。
登山を始めるまでは本格的なスポーツ経験がなかったが、農業を手伝うことで足腰が鍛えられた。病気に倒れた父に代わり、
中学卒業後は、鍬(くわ)で畑を耕し、薪(まき)を背負って里山を下りた後で高校に行く生活を続けた。その経験が15キロを超える
リュックサックを担ぐ体力の源になった。
帰国して戸惑ったのは環境の変化。「帰って来たら取材が殺到して驚きました」と、日焼けした顔に笑みを浮かべる。
1か月以上の間、過酷な環境に身を置いたため、体重は約5キロ落ちた。それでも「10年前より体力的につらかったという事はなかった」と
明かす。
次の目標については「まだ無いけれど、体力を回復させたい」と話し、その体力回復の方法も里山登山だという。「高齢」に
集まる注目をよそに、身長1メートル56の小柄な登山家は、軽いフットワークで登り続ける。