13/03/17 18:06:25.01 aFcapjAr0
民族性の違い
あれは対米戦争が始まった翌年、つまり一九四二年の晩秋だった。稲の刈り取られた田んぼが続く田舎道を、少女の私は歩いていた。
少し離れた田んぼへ、数人の女性がずかずかと入っていくのが見えた。彼女たちは腰をかがめて落ち穂を拾い始めた。
そのとき、遠くから所有者らしい農婦の大きな声が飛んで来た。
「おーい、田んぼへ入っちゃいかんぞオ」
間髪を入れず、落ち穂拾いの集団の一人が声を張り上げた。「田んぼぐらい何じゃ。日本は朝鮮の国を取ったじゃないか」
私はびっくりした。その数人は朝鮮女性だったのである。
何が私を驚かせたかというと、反撃する度胸のある女性を見たのは、それが初めてだったからである。
この出来事を皮切りに、その後もしばしば朝鮮系の人の強さに目を見張る出来事があった。
その度に、私は不思議に思った。自分の身辺に、あのような強さを持つ日本人を私は知らない。
きつい筈の朝鮮人の国を、こんなおとなしい日本人がどうして支配することが出来たのかなあ、おかしいなあ、と私はどうにも不思議だった。
親族の中に朝鮮へ移住していて、敗戦と同時に引き上げてきた一家があった。
そこからも「朝鮮の人は、気が強い。日本人はおとなしい」と聞かされたことによって、私の不思議に思う心は一層に膨らんだ。
それが今回、日本の国の支配層が実は百済からの渡来人の子孫だったと分かって、いっぺんに私の謎が解けたのである。
自らが温かく迎え入れた、百済王族によって巧妙に乗っ取られ、滅ぼされてしまった初代天皇家のなんとお人好しだったことよ。
私たち戦争を知る世代が集まった折に、話題になったのが、北朝鮮と大日本帝国時代の酷似ぶりについてだった。
「北朝鮮と大日本帝国時代の支配者はあまりにも似過ぎている。ひょっとしたら同じ民族ではないか」
「まさか」「どうして？」とその時は誰も信じようとしなかったけれど、
その後、歴史の勉強を続けたところ、まさにその通り明治の元勲は朝鮮人と分かって、私は非常に驚いている。