12/06/24 14:46:34.49 29C3JnrP0
有名俳優にプロポーズされた翌日、
私は父兄とともに散歩に出かけた。
春だというのに桜はすでに散ってしまっている。
父の表情は希望と活気に満ち、
煮しめ色のシワシワジャケットの襟は、今日も黒く変色していた。
「セレブパーティーで男漁りする日々は終わったのだな」
卓球で鍛えて宅建に受かった事になっている父が、
ほっとしたように私に言った。
「ええ、これからは一円も出さなくても
ファーストクラスに乗れる生活なんですよ」
普段から滅多に口を閉じない兄が、
父の肩に手を置いて優しく言った。
「体の相性はどうなのか?
もうやったのか聞きたい事はいくらでもある。
これからは新居に頻繁にあがりこんで聞くことにしよう」
「今から、この子達はあなたの甥っ子姪っ子です。お年玉を待ってます」
そう言中った従兄弟と、その子供達は目を輝かせながら微笑んだ。
「今まで出来なかったことができるようになるんだよ。
21世紀の結婚は家族が増えるの」
青空のなかををツバメが横切っていった。