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五大明王は仁王経の説く五大力菩薩を他経他儀軌で説かれた忿怒尊に当て直した本尊形式。
その仁王経なる経典は経題に般若波羅蜜とは見えるものの般若部の内容を思わせる教えは殆どない。
サンスクリット原典もチベット訳も現存せず梵典や蔵訳のある他の経論にも仁王経についての言及は見られない。
さまざまな考証を重ねてアカデミーの研究者たちが一致している最有力な学説は
仁王経は震旦偽撰。
それに基づく五大明王という概念も日本独自。
五智如来と五大明王の間に自性輪身と教令輪身の関係を説くのも
儀軌の説く説と一致せず混乱をもたらしている。
たとえば五大明王の考え方では、大威徳明王を阿弥陀仏の教令輪身とするが、
儀軌では大威徳明王の本地は文殊菩薩。チベットでもそれが常識。
五大明王は、仁王経の護国の教えを重んじた朝廷によって盛んに勧請され、
その中尊とされた不動尊への信仰も他国では見られないような盛況をもたらして今日に至る。