14/03/29 12:12:27.34 ZW3XZ7KM
>>32つづき
こうした成果により、大塚氏にとって「生物模倣技術」を取り入れることが、自信から確信へと変わったという。
その後、サイクロン掃除機用のゴミ圧縮ブレードにネコ科動物のザラついた舌構造を応用したりするなど、大きな成果を出し続けた大塚氏。
だが、失敗は発明の母とでもいうべきか。
それまでの成功体験を応用したことで、とんでもない失敗作(プロトタイプ)を作ったこともある。
「実は扇風機です。回転する羽根ということで、すでにエアコンの室外機用にアホウドリで成功していた自分は、それをそのまま扇風機に応用しようとしました。
それで省エネ性が高く、回転効率の良いプロトタイプを作って意気揚々と商品開発の会議に持ち込んだところ、まさに総スカン状態。
理由は明白でした。エアコンの室外機の風は人に直接当てるものではありません。その風は雑なもので、快適性とはほど遠い風を吹かせていたのです」(大塚氏)。
この経験をもとに、まさに原点に戻ったという大塚氏。
あらためて優しい風を生み出す蝶であるアサギマダラを見つけ、その羽根の仕組みを応用する。
「アサギマダラって聞き慣れない蝶の名前だと思いますが、この蝶はあまり細かく羽ばたかずに、ひらひらと滑空するだけで、海を渡って2000キロも飛んでしまうといわれています。
この飛翔能力のメカニズムは、例によって解明されていないのですが、この“あまり羽ばたかずひらひら”という飛翔方法を、圧力変動や風速ムラを生じないところから、快適性の高い扇風機のファンブレードに応用しました。
翼1枚1枚を蝶の羽根の形に似せて、翼を中央で大きくねじって折り曲げ、翼の根元と外周部の角度をわざと食い違わせ、風にうねりを与えました。
また、蝶の羽根特有の“中央のくびれ”を採用することで、7枚でありながら14枚分の圧力変動を生み出し、それを7枚連ねて回転させることで、風速ムラを完全除去、これによりムラのない滑らかな風を生み出すことに成功しました」。