13/02/12 23:56:30.24
>>37の続き
【音楽家東瑠利子、華麗なる愛】 ■第十四回■
正月が終わり、瑠利子はまた幼稚園に通った。
しかし彼女にとってはそれは退屈な日々でしかなかった。
毎日顔を合わせる友達はみんな幼稚であった。
レベルが低すぎて会話も成り立たなかった。
みんながNHK教育の「できるかな」に夢中になっている間、
瑠利子は一人、部屋の片隅で日経新聞を読んでいた。
彼女にはそんなばかばかしいテレビ番組など見る気にならなかったのである。
だが瑠利子は誰よりも思いやりに溢れた少女であった。
話しかけられれば無理をしてでも話を合わせた。
それは幼い友達の気持ちを傷つけないための配慮であった。
瑠利子は幼い頃から慈愛に満ち溢れた少女だったのである。
(第十五回に続く)