13/03/30 20:55:03.10
>>803の続き
【音楽家東瑠利子、華麗なる愛】 ■第二十回■
「瑠利子、やっぱり飛行機落ちたようだな」
窓辺に立つ瑠利子に父が声をかけた。
テレビでは日航機墜落を知らせる臨時ニュースが流れていた。
「大規模な山火事も起こっているらしい。堕ちたな。
たくさんの人が死んだんだろうな。気の毒だな」
父は独り言のようにいうと、ビールを口に運んだ。
食道から胃へと流れ落ちるビールが爽やかだった。
瑠利子はぼんやりとテレビニュースを見ていたが、
やがて父親に友達やその家族は無事だろうかと聞いた。
父はたぶん大丈夫だろうと答えた。
瑠利子母はに「東京裁判」の録画を頼むと自室へ入った。
「それにしてもこんな事故が起こるなんて信じられませんね。
でも所詮は人間のすることですから仕方ないのかもしれませんね」
「ああ。あんな鉄の塊が空を飛ぶこと自体ありえないんだよな。
まあこれからは新幹線だ」
両親は話し合っていた。テレビは依然事故のニュースを伝えていた。
(第二十一回に続く)