13/02/09 20:54:50.99
伝記・再掲載
【音楽家東瑠利子、華麗なる愛】 ■第七回■
26日の午後。瑠利子一家は22日から滞在していた北海道の別荘を離れ、
東京に戻ることになった。瑠利子たちを見送るため、約100人の住人が集まった。
彼らは僅かな期間ではあったが、瑠利子たちの深い愛の慈悲に触れて感動していた。
そして一家との別れを惜しむ余り泣き出す者や卒倒する者が続出した。
折からの雪はやんだ。それまで厚い雲が広がっていたのに、雲間から太陽が顔を覗かせた。
それはまるで瑠利子一家の帰途を祝うかのようであった。
住人代表から花束を受け取った父親は彼らに言った。
「みなさん、寒い日が続きますがお体を大切にしてください。
私たちは東京に帰ってもみなさんを暖かく見守っていますよ。
ですから決して悲しまないで希望を持って生き抜いてください、
それが私たちへの気持ちになるのですから」
と。皆の間から感動の嗚咽が広がった。
瑠利子一家の慈愛に満ちた真心の空間がそこにはあった。
(第八回に続く)