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【音楽家東瑠利子、華麗なる愛】 ■第二回■
東瑠利子の母親は出産直前のある夜、こんな夢を見たという。
それは己の肉体から火の玉が飛び出したかと思うと、
まばゆいばかりの光の玉に変わり、周囲を明るく照らしながら
この世のものとは思えぬ美しい音楽を奏でながら飛翔していったという。
目覚めた母親は確信したという。生まれる子供は偉人になる、と。
両親の大きな期待を一身に背負った瑠利子はすくすくと育った。
同年代の子供達と比べても、その驚異的な発育状態は誰の目にも
明らかなことであった。
その澄んだ瞳は聡明な性格を感じさせた。
優しい微笑に仏陀を連想した者は少なくなかった。
瑠利子には生まれながらにして知性と包容力が備わっていたのである。
(第三回に続く)