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>>110の続き
【音楽家東瑠利子、華麗なる愛】 ■第五回■
自室に戻った瑠利子は窓辺に立つとカーテンを開いた。
降り続く雪はやむ気配はない。辺り一面真っ白になっていた。
そして瑠利子の真心も目の前に広がる雪景色のように真っ白であった。
彼女の心には限りない音楽への愛と情熱が沸き起ころうとしていた。
「私は音楽家にならねばならない」
瑠利子はそう確信した。
「瑠利子…」
後ろから父親の声がした。彼は言った。
「瑠利子、お前はベートーベンの生まれ変わりなのかもしれないね、
音楽、それが君に与えられた指名なのだよ」
父は瑠利子の両肩に手を置くとそう言った。
昭和58年12月24日夜、音楽家東瑠利子が誕生した。
(第六回に続く)