12/10/06 17:30:54.26
庶民の贅沢
箱島清吉(80歳 無職 東京都墨田区)
ある晴れた日、日比谷公園を散歩していた私はカレー良い匂いに誘われた。
父親に連れて行って貰った食堂のカレーの匂いを思い出し、不意に涙が流れてしまった。
日本は戦争中で国民は皆貧しかった時代、必死に働いていた父親がしてくれた最大の贅沢であった。
遂に耐え切れなくなり、近くの日比谷松本楼に向かってしまった。
訪れた時は昼時で、近くの会社員と思しき客で賑わっていた。
私は席に着くなりカツカレーを注文し、胸を躍らせながら待った。
しばらくするとカレーが運ばれてきた。
香ばしいカレーの匂い、揚げたてのカツ、夢のようなご馳走である。
私は夢中で平らげてしまった。
父親が食わせてくれたカレーには及ばないが、とても旨かった。
乏しい年金生活の身に1280円は大変高価であった。
我々庶民には滅多に許されない贅沢だ。
店員に「ごちそうさま」といって心晴れやかに店を出た。
昨今の報道で、安倍自民党総裁が3500円もするカツカレーを食べたと報道されている。
高価なご馳走を食べて踏ん反り返っている政治家に、庶民の気持ちなどわかるまい。