11/05/04 03:29:33.17
>>198
> 物理化学系で卒研すれば院から物理系行くことって可能?
大学院の入試に受かるかどうかはともかくとして、仮に院試に受かっても入ってからかなり大変で難しいと思う。
化学科で物理化学として学ぶ物理と物理学科の学部学生が学ぶ物理とでは質も量も大違い。
極端に言えば、化学科では物理化学を専攻しようと「物理の使い方」しか学ばない。
それは例えば、物理化学の教科書での熱力学の扱いと物理学科の学部学生が使用している熱力学の教科書の内容を比べればわかるし
もっとはっきりしているのは同じく物理化学の教科書での量子力学に関連する部分と物理学科の量子力学の教科書の内容や分量の違い。
電磁気学あたりだともっとだし、統計力学だって同様。
例えば、量子化学の教科書として定評のある原田や米澤のと、物理屋が学ぶしっかりした量子力学の教科書(たとえば今度復刊する岩波の砂川の)を
比べてご覧。量子化学の教科書は所詮は「化学を研究するのに必要な量子力学の使い方」しか書いてないんだよ。これでは物理屋としては
量子力学に関して基礎力が決定的に足りない。物理屋が量子力学の勉強を通して学ぶのは量子力学の「論理」であり「どうやって構築されているか」だからね。
化学屋にとっては物理学の理論や公式は所与のものとして天下り的なんだ。でも物理屋はそれらに相当する新しい公式や理論を生み出したり(理論屋の場合)
実験で検証する(実験屋の場合)ことが仕事だから、物理の理論や公式は所与のものでないし決して天下りではない。その意識の差は決定的な差。
その差を埋め合わせるには物理学科の学生と同じように、公式の導かれ方とか理論の組み立てられ方を学ぶ以外にない。
院から物理系に行きたいのならば、物理学科の学部学生が学ぶ物理やそれに必要な物理数学などを一通り全部自習しておく覚悟が必要だと思う。