12/07/30 19:28:28.39 rcoR+9K+P
本社から1通の業務命令が来た。
「アプリ終了までに、余剰となったミニイカ娘を全て処分すること」
しかし、処分方法の制限については特に記載はない。害獣処分のためには手段を選ばんというニュアンスが、行間から
伝わってきた。
我々処分チームはお互い顔を見合わせてニヤリとした。
といって処分の方法も決まっていない(というかどれにしようか迷っているw)状態で水槽室に入っていった。
久々に人間に相手をしてもらえるとでも思ったのか、一斉に9000匹の害獣が鳴き出した。
9000匹もいると「ゲショゲショ」というよりは「グェッグェッ」と聞こえる。
グェッグェッグェッグェッ…
ゴケッゴケッゴケッゴケッ…
ギャアギャアギャアギャア…
何日も水浴びをしていないせいか、体臭と口臭と糞臭で酸っぱいにおいがする。
例えて言うなら、暑苦しいヲタが発する酸っぱい激臭とでも言おうかw
Dudeさんの作品によれば「ミニイカ娘は泳げないくせに水浴びが大好き」らしい。
キャイキャイとご機嫌で、触手で(腕が短いので使い物にならないようだ)水をかけあっているミニイカ娘。
さっきまでイジけていたくせに、ちょっと相手をしてやれば我が天下のようにご機嫌だ。
(イラつく虫だぜ…)
ギッシリと虫どもが這い回る水槽に、いつもとは違う鉄板の蓋をする。そしてピチッと手袋をハメると、鉄板の穴からホースを
垂らしバルブを開けた。
シューーーーーーッ………。
「ピィィィィ!ピィィィィ!グェ…」
「はわわわわ…」
ホースから放出されたのは”人畜無害”の液化窒素である。ドライアイスのように真っ白な煙状の気体で、触れたもの全てを瞬時に
凍結させてしまう。理科の実験で、バラの花を凍らせてバリーンと割るというアレだ。
高温超電導体の冷却や血液の凍結保存、不発弾の処理など、あらゆる場面で人間の暮らしに活用されている物体が、これ以上ない低俗
な目的に使われていることに、多少幻滅も感じる。
蓋を開けてみると、水槽に張られた水と一緒くたになって、さっきまで天国気分だったミニイカ娘がアホ面で息絶えている。
触手で水槽を叩こうとして、立ったまま壁に凍りついているもの。自分だけは脱出しようと仲間を踏んづけあったのか、
ゴロゴロの塊になって凍結したもの。
死んだ姿まで醜い虫ケラだ。
コチコチに凍結した水槽はそのままでは剥がれないので、いったん天日干しにして解凍してから、犬の散歩でウンコを救うような
ヘラでゴリゴリと剥がし取ってバケツに捨てる。
引きはがした死骸は、薬研で粉砕して微生物培養の餌にしようとか、ここまで冷やせば雑菌も死んでいるはずだからサプリメント
の会社にでも卸そうかとか四の五の相談してみたが、激臭を放ちながらいじけている姿を思い出すとやっぱり気持ち悪いという事に
なり、結局は一袋にまとめて翌日の生ごみに出すことにした。
製薬会社の実験体に提供するという話もあったが、哺乳類ではないからという理由で丁重に断られた。姿かたちはいっちょまえの
人間だが、その中途半端な生態がゆえに、どこに行ってもお払い箱になるのだ。
(続くでゲショ♪)