12/08/06 19:33:19.38 hnPhbgMhP
その日、いつものように通学路途中のさやかちゃんと仁美ちゃんとの待ち合わせ場所に着いたわたしは、面食らっていました。
何故なら、わたしの顔を見るなりさやかちゃんがわたしの手を取り、手の甲に口づけをしてくれたからです。
「おはよう、あたしのお姫様」
普段なら「もう、なにふざけてるのさやかちゃん」と笑って返せるところですが、今日はそれどころではありません。
きりっとした表情からとろけるような笑顔になって言われたその言葉に、わたしは顔を赤くしてあわあわするしかありませんでし た。
「あの、そのっ、どどどうしたのしゃやかちゃん!?」
昨日までのさやかちゃんは全くもって普段通りだったというのに、今日いきなりのさやかちゃんの変貌はわたしを面食らわせるばかりです。
さやかちゃんは支離滅裂な言葉を発しながら慌てているわたしのあごをくいっと持ち上げ、わたしの顔をまっすぐに見つめてきま した。
その真剣な眼差しに、わたしの顔は熱くなるばかりです。けれど顔をそらそうにもさやかちゃんはそれを許してくれません。
「どうしたの、あたしの可愛いまどか。そんなに顔を真っ赤にして、熱でもあるのかな?」
そう言ってさやかちゃんは自分のおでこをわたしのおでこにこつんと当ててきます。当然、わたしの熱は上がる一方です。
それに、わたしの頭の中で『あたしの可愛いまどか』というフレーズがグルグル回っていて、わたしはもうそのことしか考えられなくなっていました。
「もう、あたしのお姫様は恥ずかしがり屋さんなんだね? でも、そんなまどかも可愛いよ?」
わたしはもはや、失神寸前でした。