12/03/13 12:38:05.66 5Sqx8g0n0
キリカ「ご、ごめん! 間違って入札しちゃったよ。気をつけてたんだけどなァ」
織莉子(協定など初めから守るつもりはありません。ここにいるのは自分さえ儲かれば、という人ばかりですからね)
さやか(やっぱりこいつ、序盤で大量にカードを購入して、後で他のプレイヤーに高値で売りつけるつもりだ!
余計なお金が流れないようにしないと……でも今のあたしには妨害なんてできないし、下手に動いたら怪しまれる)
織莉子「商品Dは……鹿目さん希望でしたね? では早々に入札を」
まどか「う、うん……」
織莉子(あなたは金貨1枚で競り落とそうとするでしょう。ならばこちらは密かに2枚で……)
まどか「入札結果は……え……? 織莉子さんが2枚ってどういうこと……?」
織莉子「すみません、どうやら誤作動のようで―仕方ありませんね。代わりに私が取るハズだった商品を―?
佐倉杏子 3枚で落札……ど、どういうことですか、これは……?」
杏子 「あんた、最初から協力するつもりなんてなかったろ。協定を守る振りをしてりゃ、どの商品も金貨2枚で確実に落とせる。
そうやって手役を上げる算段だったかもしれないけど……残念だね」
織莉子「なぜこの回で私が入札すると分かったのです?」
杏子 「さやかが教えてくれたのさ。あんたが裏切りそうだって合図を送ってくれてね」
織莉子「あり得ないことです。私を最も監視しやすい位置にいたのは美樹さんでしたから、こちらも注意深く彼女をマークしていました。
ですが佐倉さんに何かを伝える素振りなどありませんでした。私に気付かれずにメッセージを送るなど不可能です!」
杏子 「本当になかったかい?」
織莉子「私は一分の隙も見せていません。美樹さんが合図を送る等すればすぐに分かります」
杏子 「いや、あんたには分からねえよ。なにしろさやかは今もずっとあたしに合図を送り続けてるんだからな」
織莉子「何ですって……!?」
さやか「あんたが協定を破って入札しようとしてたのは分かってた。それだけは何としても阻止したい。
でも今のあたしにはできない。といって声を出したりしたらあんたに気付かれる。
だから分からないように杏子に合図を送ったんだよ」
織莉子「合図……この結界の中ではテレパシーは使えないハズ……いったいどうやって―」
さやか「これだよ」
織莉子「……髪留め? ま、まさか……ッ!?」
杏子 「そうさ。さやかはその髪留めを外してあたしに教えてくれたんだ。あんたの入札を阻止しろってね」
さやか「正直、焦ったよ。どうやって杏子にメッセージを伝えようかって。他に方法はなかった。
ほんと一か八かの賭けだったけど……杏子はあたしの合図に気付いてくれた。だから阻止できたんだ」
杏子 「あたしも最初は意味が分からなかったさ。普段からしてる髪留めを外すなんて考えられない。
ましてや……風も吹いてないこんなゲームの最中なら尚更あり得ないんだ。だから何か意図があるんだろうってね。
バカ正直のさやかにしちゃ冴えた手だったぜ。髪留めを外したくらいなら普通、誰にもバレないからね」
さやか「バカは余計だっての」
杏子 「織莉子、あんた注意深くさやかを観察してたって言ってたよな? でも髪留めの有無には気付かなかった。
けどあたしは気付いた。なんでか分かるか?」
織莉子「偶然、ですよ……」
杏子 「違うね。あたしはさやかを”見ていた”からさ。あんたも見てただろうけど、その意味が全然違う。
あんたは疑うためだけにこいつを見てた。でも、あたしはさやかを信じてた。だから分かったんだよ。
信じてたから些細な変化にも気付けたんだ」
さやか「あたしも、あんたなら読み取ってくれるって信じてたよ」
織莉子「信じる? 馬鹿馬鹿しい。人は常に裏切り、欺き、騙すものです。絆などまやかしです」
杏子 「織莉子、あんたの気持ちは分かる。けどさ、もう一度だけでいい。このゲームだけでいいからさ。
あたしたちを信じてみてくれよ。絶対にあんたが不利になるようなことはしないって約束するからさ」
織莉子「…………」
さやか(今の、密輸ゲームの時にあたしが言った言葉だ。杏子、憶えてくれてたんだ……)
本編では殆ど、杏子→さやかだったのでPSPでは逆にさやかが杏子を助けるような話を観たいものです。