12/01/08 17:57:44.76 wZubcUrF0
シモ・ヘイヘでって意外と難しいな……ほむらなら……
まどか「まだかな……」
ガサガサ
さやか「あと10分は来ないんじゃないかな」
みんな魔法少女になっちゃったせいで開き直って全員でワルプルギスを倒そうと提案したほむら。
遠近武器で二人ペアを組むことになり、くじ引きの結果まどかとさやか、杏子とマミがペアとなった。
経験の浅い二人のペアに対し、ほむらはどこからか無断でお借りした狙撃銃を渡し、遠距離狙撃の任を課した。
互いや他のペアがフォローに回ることが結果的に危険を招くとの判断である。
まどか「つらかったけど、全部今日のためなんだよね……」
二週間かけて狙撃の基礎から暴風の中で的確に打ち抜く方法までほむらから教わったまどか。
さやか「大丈夫、きっと越えられるって」
ワルプルギスの夜の使い魔に特化した対策をほむらと練り上げたさやか。
一世一代、空前かつたぶん絶後の戦いを前に互いに震えているのが判る。
まどか「でも、ちょっと不安なんだ……」
ほむらは万全を期すためにすべての情報を開示したが、それゆえだれも絶対的勝利が予想できない状況にあった。
さやか「大丈夫だって、『シモ・ヘイヘでも撃ちぬける』ってほむらに太鼓判押されてたじゃん」
まどか「そもそも、その人をよく知らないんだけどね」
三滝原に避難指示が出て1時間。風は北風、風速1m以下。まるで台風の前とは思えない。
静寂は不安を呼ぶもので、声を出していないとつぶれそうな気がしたまどかは続ける。
まどか「ほむらちゃんが言うとおりなら、私が全力でがんばれば……」
さやか「それは言わない」
まどかが全力を使うと決めれば、ソウルジェムが濁り切るまで手を緩めないだろうことはさやかにも予想がつく。
「一対一で殺り合えばそこまで必要なのが、ワルプルギスの夜だ」というほむらの言葉がさやかにはうそとは思えない。
唯一の可能性は、複数でかかれば何とかなるということ。
さやか「一人じゃないんだからさ。いざとなれば私が行ってやっつけちゃうって」
さやか流の強がり。それが可能とは自分でも思っていない。
ただ、その言葉をかけてくれる人がいること自体が、まどかにとって今一番の救いになる。
―二人なら、がんばれる。
まどか「うん。頼りにしてるよ、さやかちゃん」
風はにわかに強くなり、暗雲より立ち込める空。
さやか「晴らして見せるよ……ううん、晴らさなきゃだめなんだ」
まどか「やること、やらなきゃ……!」
さざめく空気が、始まりを告げる。