12/01/25 23:39:16.39 bBAEg4tf0
>>433氏のSSに感銘を受けて俺も勝手に続けてみた。>>433氏や前スレ>>66氏にはとても及びませんが、すみません。勝手に胸を貸していただきます。
------
依存の根本的な対策は、まず認識から始まる。
何故それを口にするのか、代替手段は無いのか、健康との折衝は可能か。
それを突き詰め始めてすぐ、私は似たような事をしたことがあるのに気付いた。
概念となってどこにいるとも知れないまどかへの欲求は、彼女がいた世界での経験もあわせて、ひどく私を焦がしたものだ。
幸いだったのは、彼女を知っていたこと。
彼女がその生命を対価に何を望んでこの世界を作ったのか、その答えに行き着いた時、自然とそれは消え去ろうとした。
しかし並べて世は不条理で、その答えをくれた少女は、他意も無く気ままにこの国を飛び出し、私は別の依存に囚われた。
残ったのは、相変わらずの特効薬として脳髄を麻痺させるエタノールを含んだ液体だけ。
やがて彼女が日本に戻り、今また確かに隣にいてもなお、現実を喪失させる魔法の液体は私を悩ませていた。
何度互いの存在を確かめてもなお、彼女と私はその力を借りて、互いの存在まで不確かにしなければその想いを認められない。
「ったく、塵も積もれば何とやら、あんだけいたのによく身が持ったもんだ」
彼女は今日も魔獣を狩り終わってから軽口を叩き、つかの間の高揚のために瓶を手に取ろうとする。
思い返せば、認識を改めてもなお変わらない夜を繰り返していた。
このまま二人で瓶を開け、認識を混濁させ、判断も曖昧にしての、互いの見えない交わり。
それ自体が代替手段として機能しているとして、そのために曖昧と混濁による欺瞞が必要なのか、私は彼女と私自身に問いたくなった。
私は瓶を横から掻っ攫うと、乱暴にビルの床に放って見せた。
割れることは無く鈍い音を立てて床を転がるそれを一瞥して、彼女は苛立つ。
「ちょっと、何すんのさ。ほむら」
その気持ちはわかるつもりだった。
手を出したときは享楽の一つだったというのに、やがてそれは私にとってユートピアへの特急券になった。
それがディストピアだと気付いてもなお、ラグナロクの真っ最中の現実にとどまるよりはましだとも思えた。
私は持つもの全てを捨てた世界で、幻と踊っているのが一番の幸せだった。
ただ、そこで私は不確かながら一つだけ現実とつながる物を得た。
全ての感覚を確かに持ったまま、それを本当に得られたのか確認したい。
だから、今一度再現する。
間違った事実は追試が不可能だから、これが一番の手だと思った。
「愛してる。あなたはかっこいい」