11/12/24 20:56:30.58 QMan0VQj0
イヴの杏×ほむSS書いた。どの時間軸かって? 俺軸に決まってるじゃないか!
「マミはさやかとまどかの相手で手一杯だからさ」
「クリスマスイヴに人を呼び出した理由にしては薄いわね」
明日は巴さん主催のクリスマスパーティーがあるので家でゆっくりしようと思っていたのだけれど。
「いいじゃんよ。一人ぼっちは寂しいし、今夜はホテルも確保しづらくて……」
「それが理由ね」
しまったといった顔から懇願の表情に切り替わった杏子は、観念したとばかりに手を握り合わせて私を拝む。
「頼む! この季節じゃ野宿もきついんだよ」
最初から理由を言ってもらえれば話も早かったんだけれど。
「いいわ。布団は無いけれど、ソファーと毛布でよければ」
「十分。ほんと恩に着るよ」
安堵と感謝の表情がありありと見て取れる。
ふと、うらやましいと思った。
こんな振る舞いを自制してからどれくらい経つだろう。
「何か食べる? カップ麺しかないけれど」
戸棚からラーメン・うどん・そば・素麺・パスタ・米麺・春雨スープと取り出して杏子に尋ねる。
「やけに種類があるな」
「簡便に摂食できるもの。で、いるの?」
「いや、いいよ。屋根貸してもらえるだけでありがたいんだし」
にこっと笑ってみせる杏子。
「表情豊かね」
ふと、私は感想を漏らす。
「作ってんだよ。アンタと方向性は似てるさ」
表情を作っているのは気付いていたけれど、そこまで突かれるとは思わなかった。
一言の指摘に自分の思いを見透かされて、一歩下がる。
「感情を押し殺すだけが本心を隠す方法じゃないんだよ」
「感情を、偽るの?」
自分に嘘をつける自信は無い。
「偽ってはいるけど、嘘ついてるってほど偽者じゃなきゃ出来るもんだ。むしろ表情で自分の感情を決めるくらいさ」
それなら出来る気がすると思った私は、少し顔の筋肉を動かしてみた。
「なるほど、やってみたいけどきちんとは出来ないって顔だな」
羨望のまなざしのつもりだったのだけど、どうも不出来らしい。
「よし、一宿の恩だ。一晩演技指導してやるよ」