11/12/15 21:16:39.37 7KnMRbsX0
「せえぇいっっ!!」
横殴りに振った槍が、魔獣を切り裂く。そのままの勢いで振り切りながら、連結解除。
「これでラストォッ!!」
棒から多節棍へとなった柄が伸び、中距離にいた最後の一匹を貫いた。
砂の城が崩れるようにして消え去る魔獣。
もうどこにも魔獣の気配が無いのを確認して、あたしは大きく息を吐いた。
今回の魔獣狩りは数が多く、骨が折れた。文字通りの意味で。
「痛ぅっ……!」
一撃喰らった脇腹が疼く。足を一歩踏み出せば、肋骨がシャリシャリ言った。
動こうとせず治癒に専念するべき重症。
だがあたしは痛みをこらえて走り出し、叫ぶ。
「大丈夫かほむら!?」
戦場となった夜の森。その一部の樹が、割り損なった割り箸みたく不揃いに折れ飛んでいる。
魔獣の攻撃でそうなった。
そして攻撃を喰らったものの中には、ナラやブナの樹に混じって、暁美ほむらもいたのだ。
ほむらが吹き飛ばされた時、あたしは魔獣に囲まれており視界の端でその光景を見るのがやっと。
それから戦闘終了するまで、ほむらの姿も、弓による援護も、お得意の銃火器の発射音も、
何一つあたしは確認出来なかった。
今も、あたしの声に返事は無い。
胸の中に吐き気にも似た不安がこみ上げてくる。森中に響く声で名を呼ぶ。ほむら、ほむら、ほむら。