07/03/16 22:21:51 sZFL93De0
私がはじめて絶望に直面したのは18歳の頃だ。
2006年の秋のことだった。大昔の話なのに、昨日のことのように思い出せる。
私は凰華女学院分校と呼ばれる小さな学院で暮らしていた。
53人の生徒しかいない小さな学院だったけれど、私にとってはそれが
世界の全てだった。
殿子「わたしは、鷹月を継ぐ気はない」
殿子がなぜそうまで鷹月の実家に反抗するのか、当時の私には不可解だった。
私には両親に抗うなんて思いもよらなかったし、両親が最後に私を叱ったのは
3歳の頃だった。
みやび「三流同士で仲良くやっている訳だな」
風祭みやびは学生ながら理事長代理であり、最高権力者として学院に君臨していた。
笑うことはほとんどなく、常に学院中を敵に回す言動を取っては、本人の目論見通り
皆に嫌われていた。
美綺「すみすみ、おっはよー」
栖香「私に話しかけないでください」
美綺は人当たりのよい性格で、誰とでもすぐに仲良くなれる子だったが、
なぜか栖香にだけは徹底的に無視されていた。栖香は生真面目が服を着て
いるような優等生で、機械のように規則正しく、そしてどこか寂しげだった。
梓乃「……っ!」
梓乃は対人恐怖症で、殿子以外とはまともに会話することができなかった。
常に殿子の背中に隠れて生きている彼女の将来を誰もが案じたが、
彼女の問題に真剣に関わる余裕は、残念ながら当時の私たちには存在しなかった。