07/01/08 20:55:20 BMcWZodZ0
1月5日
今日はみのりちゃんとデートの日だ。約束の時間にはまだ余裕があるので少し近所を
散歩がてら回ってくることにした。つい八十八海岸まで行ってしまったが、そこに友美が
来ていた。相変わらず俺が悪いと誤解しているらしく、まだ怒っている様子だった。
ところが家に戻ってみると気まずそうな友美とすれ違いになり、見ると美佐子さんが店の
外に出ていた。友美が家の前に立っていたのが気になって暫く話をしていたのだと言う。
芳樹が家に来たことを聞かれ、一度だけ、それも俺が居ないときに来た事を話したら、
友美のやつ、急にうろたえてしまったらしい。まずい事を言ったかしらと美佐子さんは心配
したが、俺は大丈夫だよと言っておいた。
さて、改めてみのりちゃんとのデートに出発だ。みのりちゃんは既に待ち合わせ場所の
如月駅に来ており、俺が着いたのが約束時間の11時を過ぎてしまっていたので彼女に
謝るが、さほど気にしてない様子だった。そして一緒に如月神社へと向かった。着いてから
早速お賽銭をあげに行き、おみくじを引いたり、境内を散歩したりした。みのりちゃんは
結構楽しんでくれているみたいだ。それから、山の中腹の高台のところに来た。しばらく
一緒に景色を眺めていたが、ふいに、彼女は自分の身の上話を始めた。それは芳樹が
言っていた「彼女の秘密」に関する事柄で、俺は彼女が隠れてバイトをしている事を知った。
そして俺は衝撃の事実を知らされる。彼女に言われるがままに彼女がいつもかけている
メガネをとってみると、そこにはとても可愛らしい女の子の顔があった。どこかで見た覚えが
あるその素顔は・・・ひろ子ちゃん!?そう、ひろ子ちゃんが実はみのりちゃんだったのだ。
彼女は話を続けた。容姿で判断する人が嫌いと言っていたが、実は自分自身がそうだった、
好きな人が居たけどフラれてしまい(西御寺の事だな)、その人は自分の嫌いな、容姿で
判断する人だった。でも俺はその人と違い、ちゃんと約束を守ってくれたという。俺はハッと
した。みのりちゃんとデートの約束をした後、ひろ子ちゃんから同じ日にデートに誘われた
事を思い出したのだ。そして気づいた。俺がみのりちゃんとひろ子ちゃんのどちらを選ぶか、
彼女は試していたのだ。冗談じゃない。俺は憤慨した。みのりちゃんは謝ってきたが今まで
騙されていた事を思うと彼女を許す気になれなかった。いくら顔が可愛くても、そんな酷い
事をする女の子は嫌だ。俺はみのりちゃんが呼び止めるのも聞かず、一人で先に帰った。
楽しいデートになる筈だったのに、せっかくの気分が台無しだ。
(続く)