07/09/27 07:29:55
「医療崩壊」にも出てくる東大名誉教授、大井玄氏は読売新聞の「論点」で医療をサービスと扱うことに対して警鐘を鳴らしています。以下に引用します。
(引用はじめ)
医療費の適正化をめぐる最近の論議を聞くと、医療サービスヘの期待が混乱しているように見える。
問題の核心は、医療サービスは限られた資源を平等に利用すべき「公共財」なのか、
通常の物や、サービスのような市場が評価する普通の財なのかという点である。
戦後の日本や西欧諸国は前者の立場を、米国は後者の立場をとってきた。
しかし、英国はサッチャー政権以来、競争原理や民間企業の手法を導入した。
それがもたらした結果について、英国で権威ある医学誌『ランセット』は今年4月30日号の社説で、こう評価した。
「すべての政治家が、医療サービスの改善を妨げる最も重要な要因への対応に失敗した。
医師の破局的な士気低下である。国民医療保健制度(NHS)の下で、
医師は全く勤労意欲を喪失している」
たしかに、英国の保健制度の効率の悪さは世界的に注目される。
入院待ち患者が100万人を超え、入院までの平均待ち日数4か月、
数万人が外科手術を1年以上待っている。
しかし、この有り様でも、同国の医療は「平等」という正義が保たれているため、
世界保健機関(WHO)は、6人に1人が医療保険のない米国よりも上位に評価する。
米国は技術は高いが、正義に欠け、倫理的評価は低いというわけだ。