ロリショタバトルロワイアル20at SUBCAL
ロリショタバトルロワイアル20 - 暇つぶし2ch250:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/23 16:02:39 vCLgDD0R
他の人のいうとおり、散々指摘された預かり所を消せば問題ないと思う。
地下迷宮もあり。地下説が主流なんだし城や洞窟に非常口がありそうだっていうのは最初のほうからあったし。
個人的な意見だがグレーテルの回で示したように、どんなアイテムで迷宮を作ったのかはっきりさせたほうがいいと思う。
考察に関してはよくわからん。見た感じ問題ないとは思うが、他の人の意見を参照してくれ。

251:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/23 20:35:40 j02KNZQs
迷宮をどう作ったかは別に今明かさなくてもいいんじゃないか。
特に今回はレックスが少し入ってすぐ出てきただけだし。

252:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/24 10:23:09 ZhLfbweO
迷宮作成はドラとか色々あるよな
別に今すぐ示さなくて良いと思うけど

253: ◆7KR.e180t.
08/07/24 11:57:49 LBPJ64/r
ベルカナの思考部分を修正スレに書き込みました。判断をお願いします。

避難所で指摘されていたパラシュートの件ですが、確かに放置したほうが自然と考え、
別の現地調達品で代用しました。

地下迷宮に関しては、当初はドラえもんのホームメイロを考えていましたが、
クロウカードの迷や輪等もあり得そうですし、あとの書き手任せの方がいいと判断しました。

254: ◆CFbj666Xrw
08/07/24 23:29:16 khj73o1P
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
>>237で指摘された点に沿って修正してみました。
願いが叶わない云々は省いて、ジェダ様が直前で話を打ち切った為、色々確定はしない話です。
とはいえ事故自体に反対という方も居られますし、これで改めて様子を見てみる&もうしばらく考えてみます。
初期投下直後に謝罪した姿勢などは未だに非難されていますが、戸惑っている具合なので。

255: ◆CFbj666Xrw
08/07/24 23:36:39 khj73o1P
ちょっと追記。
初期投下直後に謝罪した、作品提示の形に対する姿勢などは未だに非難されていますが、ですね。
あの提示の仕方により誤解など色々招いたようですので、あれは本当に申し訳有りませんでした。

256:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/24 23:56:52 sXOGZn79
>>253
修正案提示乙です。
えーっと、とりあえず個人的には、ベルカナの思考部分は問題ないと思います。
(元々私個人はそこの指摘はしてませんし……)
ただ、修正するとおっしゃってたのはこの部分だけではないですよね?
預かり所絡みも大幅にカットし変更し、代わりにロープ入手の話(あるいは、ロープなしで地下に入る話)を入れねばならない。
……この状況で、一部の断片だけ見せて是非を問うのは、ちょっとどうかな、とも思います。
(問題や物言いの性質によっては、局所だけの修正・提示で済むこともあるのですが……)
今回は小出しでなく、全文を見たいと思うような状況でした。(まあ、状態票くらいは別に省略でもいいですけど)
その点少し残念で、また、全文を見るまで「他の部分についての」判断は保留せざるをえません。

>>254
修正乙です。
個人的には、上手い修正だと思います。

257: ◆7KR.e180t.
08/07/25 00:05:28 SOOuyzZz
>>256
了解しました。全文を修正スレに投下してきます。

258:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/25 00:19:59 +XKhwl2V
>>257
素早い対応乙です。急かしたようで申し訳ありません。
個人的には、許容範囲のような気もしますが……
このロープ入手の経緯(というか、「そこにロープがあった理由」)には、ちょっと引っ掛かる人が出るかもしれません。
少し意見を待った方がいいかもしれませんね。

259:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/25 02:08:33 G96FGcVt
>>254
乙です。
私は通し派なので否やはありませんが、反対派の意見も聞いてみたいと思います。

>>257
乙です。
私は、これで問題ないように思います。
ロープ入手の経緯についても、この城がグランバニア城に似せて作られたものではなく
グランバニア城そのものだということを証明するエピソードとして機能するかなと思いますので、
多少強引さは感じますが、ベルカナの考察へと繋がる意味のある流れとして納得できます。
できれば考察時にその点に触れて欲しい気もしますが、
さすがにそれは細かい内容に干渉しすぎかな……?

260:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/25 02:45:52 5v1wtbVg
>>254
乙です。自分は元々通し派なので改めて言うことはありません。

>>257
こちらも乙。自分としては問題はないと感じました。

261: ◆7KR.e180t.
08/07/25 12:28:20 SOOuyzZz
投下行きます。

262:おしろななふしぎ  ◆7KR.e180t.
08/07/25 12:29:50 SOOuyzZz
お茶会が終了し、そのあとの共通支給品として配布されたパンによる食事が開始される。
味気ないパンと、上等なお茶で食事をしながらも、情報交換は続いた。
島での動向はすでに話し終えたため、話の内容は自分たちの世界に関してだ。

「…ジクウカンリキョク?」
「うん、リインちゃんがいってた。異世界を管理する、警察みたいなところなんだって」
「そのような組織が未だに救援に来ないということは、助けに来ないのではなく、助けに来れないと考えたほうがいいですね。
 となると、やはり脱出するにはこちらから何か動かねば難しそうです」
「マスタードラゴンや天空城の人なら何か気付いて助けに来てくれるかも知れないけど……
 僕は異世界って魔界のことしか知らなかったからなぁ。ちょっとあてにできないかも。
 ジェダも魔王なら魔界のどこかにいたりしないかな?」

最初は、4人が順々に自分たちの世界の話や、元の世界でやってきたことを話す。
その後、梨々が聞いたリインや桜の世界のことを話すが、梨々がリインから聞いていた時空管理局の存在は、結構大きかったようだ。

やがて話はレックスとベルカナの魔法の話になっていく。
戦力の把握はこの殺し合いの場において大切なことだ。
なので梨々も口を挟まず話を聞いていた。
アルルゥは話自体よく分かっていないようだ。

レックスとベルカナのそれぞれの世界の魔法の話は、お互いにお互いを感心させた。
もっともベルカナはいくつかの魔法に関しては伏せたままであったが。

「私の世界の魔法は、レックスの世界のものに比べて、消耗が激しいようですね」
「うん、そうみたいだね。弱い魔法も連発できないなら攻撃魔法はなるべく使わない方がいいかもしれない。
 戦いになったときはなるべくアイテムで援護したほうがいいかも」
「そのほうが良さそうですわね。相手によってはそうも言ってられないんでしょうけど…」

そうした話を続けていくうちに、食事も終了となった。

その後、レックスの供述を元に、梨々が真紅の似顔絵を描く作業も終わり、
そろそろ休もうかという空気が流れてきた。

「本当にもう休むしかないのかな……」

その空気を破ったのは梨々の一言だ。
梨々は桜の救出をこの中で最も強く望んでいる。
それ故に、何もできない今の状態に納得できないでいた。

「ならば、どうするのです? 雛苺の手がかりはありませんし、私は現在追跡の魔法を唱えることができません。
 遺憾に思うのは仕方ありませんが、休息以外の手はないはずですよ」

確かに現在、雛苺達を追う手がかりはどこにもない。
東に向かったという憶測はできたが、その後どちらに向かったかの検討はつかない。
東の橋を渡ったところにはレックスのいうほこらがあるし、民家も多数ある。
北東の街に行ったのかもしれないし、遠回りにはなるが南の病院に言った可能性もある。
満身創痍の身体で危険人物を探すためにすべての場所を回るのは相当に危険だろう。

263:おしろななふしぎ  ◆7KR.e180t.
08/07/25 12:32:49 SOOuyzZz
「それにレックスとアルルゥは、このゲームに乗っていました。
 結構な人数にそのことを知られていますし、その人たちから私たちの知らない相手にも伝わっているでしょう。
 最悪、背後からいきなり殺される可能性もありますわ。夜の行動は避けるべきです」

その言葉にレックス達が唸る。反論はできない。

レックスが襲ったのはアリサ、トマ、梨々、はやて。
アルルゥやしんべえ、ベッキーも襲ったが、こちらは早いうちに和解したり死亡したりしているので数には入れない。
真紅や雛苺も数に入れない。この二人もゲームに乗っていたのだから。

そしてアルルゥがゲームに乗っていたことを知っているのは、ベルカナとアルルゥの知っている範囲内で、
トマ、イエロー、金髪の男と人形、そしてトマと一緒にいた少女の4人。
こちらも銀髪のブレード使いは数に入れない。

そして梨々はレックスの情報を桜とイリヤに教えている。

危険を知っている人間が7人。それぞれが梨々と同様に2人ずつにその情報を与えているのだとすれば、
レックスとアルルゥの二人を危険だと考える人間は21人。
そのうちの半数が第一放送で呼ばれたとしたら、大体10人になる。

かなり荒い数字であるし、トマとはやてのように共に行動する人間もいるが、
情報を得た人間からさらに周りに広められたりすることを考えると、
もっと大勢に知られていると考えるべきだろう。
次に会う人間が二人の危険性を知っている確率は、結構高いのではないだろうか。

相手が銃などを持っていたり、レックスのような強力な魔法を使えたりするなら、
最悪後ろからズガンと殺されかねない。

だいたい、今のコンディションで雛苺に挑んでも、勝ち目はないとレックス自身が言っている。
この中で一番強く、実際に雛苺と戦ったレックスの言葉だ。否定はできない。
策もないまま集団で戦っても返り討ちにあうのが関の山だ。

梨々が一人で桜を救出する、という選択肢も却下だ。
銃を手にしたものの、相手は万全のレックスすら苦戦させる強さだ。
それだけで勝てるなんて慢心は、梨々にはできない。

「……どうする? 梨々。君が行くって言うなら、僕はついて行くよ」
「アルルゥも、いく」

二人は梨々に判断を任せた。
梨々は考える。現状、八方塞がりの状況だ。
無理に桜を探そうと思っても、うまくいくとは思えない。
休息はやはり必要だ。彼らの状態も良くはない。
それに、彼らももう仲間だ。自分のわがままで仲間を危険にさらしたくはない。

「やっぱり、今日はもう休む。私もつかれたし」
「そっか……うん、わかった」
「ん」

264:おしろななふしぎ  ◆7KR.e180t.
08/07/25 12:36:09 SOOuyzZz
その返答に、二人は安堵する。やはり休みたい気持ちは大きかったみたいだ。
ベルカナも、その言葉を聞いてほっと息をはく

「さて、それでは寝床はどこがい……」
「あ、ちょっとまって」

そして寝る場所を決めようと思ったら、レックスが制止をかける。

「……なんですか?」
「もう一度、お城の中を調べてみたいんだけど、いいかな? 今度は道具探しで」
「お店はすべて空っぽだったのでしょう? 私も民家などでは多少調べましたが、どこも空っぽでした」

ベルカナはまともな服を探すためにも、雛苺達の捜索中にタンス等を調べていた。
だがその中にあるはずの服はまったくなかった。

「恐らくジェダがこのお城の中のものをすべて持っていってしまったんでしょう。
 下着だけが残っていたのは嫌がらせなのでしょうけど」
「うーん……でも、見落としもあると思うし、電話みたいにジェダが用意したものもあると思うんだ。
 ちゃんと探してみて、損はないと思う」

明日の行動を速めるためにも、速いうちに寝たほうがいいのだが、
確かに探して使えそうな道具が見つかるのなら、その方がいいと思う。服だって欲しいし。
先ほどの探索は人探しということもあり、細かい場所までは見なかった。

「ではこうしましょう。11時になったら電話のあった場所に集合。
 それまでは再度お城の探索を行う。ということでいいですか?」

他の三人もうなずく。

「それじゃ、僕は下の階を調べるよ。
 誰がいいアイテムを見つけるか競争だね!」
「アルルゥも!」

そう言ってレックスは部屋を出て行く。アルルゥも続く。

「それじゃあ私たちはこの部屋から探索を始めましょうか」
「そうだね。王様の部屋って何があるか興味あるし」

そういって、盗賊ギルドのソーサラーと怪盗は王室へと踏み込んだ。


  *  *


レックスは、周囲を見渡しながら下へ向う。
いつもはあちこちに立てかけられている兵士の武器は、やはりない。

265:おしろななふしぎ  ◆7KR.e180t.
08/07/25 12:36:50 SOOuyzZz
「そう簡単に武器は見つからない、か……」

現在装備しているドラゴンの杖は強力だ。
そしてなにより、その杖は父の杖である。
そんじょそこらの剣よりよっぽど心強い。
だが杖では、剣のように相手を斬ることができない。

それでは雛苺相手には、心もとない。
雛苺の主な攻撃は苺蔦による捕縛である。
再戦する際には、蔦の対策として刃物がどうしても必要になってくるのは想像に難くない。
この際ナイフや槍でもいいから刃物がほしい。剣なら上出来だ。

そうこう考えながら、周囲を見渡しながら進んでいたためか、アルルゥを見失った。
恐らく先に城下町にいってあちこち調べ回っているのだろう。

1階に降りる。
そしてまずは城下町にはいる前に植え込みを調べてみる。
よく見ると植え込みの中でもひときわ大きい木に何か引っかかっている。

「フック付きロープか……」

引っかかっているものの正体は冒険の時に使ったフック付きロープだ。
確かこれは馬車にしまっていたはずだ。
だがどうしてこれがこんなところに……?

そう考えたレックスは、ふと思い出す。
この島に飛ばされたのは、魔王を倒し、お城が宴会騒ぎだった日だ。

その宴会の時に道具から取り出したフック付きロープを天井に引っかけ、遊んでいたことがあった。
ロープにつかまり、振り子のように揺れて遊んで、引っかけが外れて植え込みに激突した。
メイドに怒られ、逃げ出す際にその場に放置していたような気がするが、この場に残っていたとは。

本来の用途…ボブルの塔の探索には使用できそうにないが、
この遊び方のようにいろいろと使い道はあるだろう。
まき直し、ロープを回収する。

そして城下町の方に向かおうとしたところで、
レックスはふと、お城で感じたことのない風の流れを感じた。

(……? なんだろう?)

普段は見ない場所。1階の階段の裏側。
そこから天空城のマスタードラゴンの玉座の裏のような、妙な風の流れを感じる。
床をよく調べてみると、石床にわずかに隙間があった。
ドラゴンの杖を引っ掛け、てこの原理で床を開ける。

266:おしろななふしぎ  ◆7KR.e180t.
08/07/25 12:38:04 SOOuyzZz
床を開けたところにあったのは、隠された階段だ。
その奥にあるのは迷宮。それも天然ではなく人工の。
レックスは、この歳の男の子に宿るものに突き動かされる。
その宿るものの名は―好奇心。

だがしかしこの迷宮を調べると約束の時間に間に合わなそうだ。
そこでレックスは先ほど手に入れた道具を取り出す。フック付きロープだ。
レックスはその先端のフックの部分を近くにあった武器立てに引っかける。

「このロープが尽きるまで探索。なくなったら引き返す。うん、これでいいな」

そういってレックスは迷宮の中に突入する。
その迷宮はグランバニアの壁と同じものでできており、床もそうだった。
その中を進む。進むったら進む。

ずっと同じ壁で出来ていて、ともすれば平衡感覚を失いそうにもなるその洞窟をレックスは進む。
とちゅうで指に唾をつけて天にかざし、風の向く方向を確認したり、
分かれ道でドラゴンの杖を倒して進む方向を決めたりしながら、
行き止まりに着き、引き返したりしながら、
右に曲がり、時には左。十字路を真っ直ぐ進むこともあった。
だが周りに変化は全くなく、いつまでも同じような道ばかりが続く。
いつも探索していた洞窟と違い、宝箱や下へと降りる階段も見つからない。
いつまでも続く迷宮。この先には一体何があるのか。

だが何の成果もないまま迷宮の探索に終わりが来る。
レックスの持っていたロープが尽きたのだ。

何もみつからなかったことに不満はあるが、最初の予定通りロープを伝って引き返す。
ロープの道の示すままに来た道をそのまま進む。
これならば、迷って出られなくなることはない。
レックスは1階へと戻り、そして隠し階段にかぶせてあった石床を元に戻し、城下町へと進む。
隠し階段の合った石床は、パッと見レックスが出る前と変わらない。


このお城の地下迷宮の先に、何があるかはわからない。
だがそこに何かの意図があり、できればだれにも見つかってほしくないという意思があったのだとしたら、
ここを見つけ出したのがレックスだったのは幸運だったろう。
その理由は3つ

まず一つは、レックスが本格的に迷宮を調査しようと思っていなかったこと。
彼の現在の目的は道具の捜索であり、この迷宮を探索したのはある種余計な事だ。
中を調べようと思ったのもちょっとした好奇心からにすぎない。

次に二つ目。それはレックスが方向音痴だったことだ。
もしここに探索にはいったのが地図の把握のできるものや、カンの鋭いものだったなら、
地下まで周囲を水に囲われたこの城の迷宮がありえないほど広かったことに気付いたかもしれない。

そして三つ目――


「レックスおにーちゃん、なにかみつかった?」

267:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/25 12:53:19 OYQWDHkV
支援

268:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/25 14:19:43 BepDUMYU



269:◇7KR.e180t. 代理投下
08/07/25 14:29:09 uDEb6x49
地下迷宮から出たレックスは道具屋を訪れ、空っぽの店内を調べ回る。
その最中にひょっこり顔を出したアルルゥ。
彼女の問いに彼はこう返した。

「うん、使えそうなものならあったよ」
「どんなの?」
「まだ内緒。後で見せるよ」
「アルルゥもみつけた! きれーなの」
「そっか。後で梨々達とも一緒に見せあいっこだね」
「ん!」

三つ目、それは彼がグランバニアに住んでいたことだ。
このお城にあるものは、大半が彼が見知った物である。
故に彼はあの迷宮を『元からあったもの』として認識した。
だから迷宮のことを軽く考えていた。

(あの迷宮も、おじいちゃんが作ったのかな?
 城下町を城の中に入れちゃうなんて発想をするくらいだし、きっとそうなんだろうな。 
 あの先に何があるのかな? グランバニアの王家の秘宝だったりして!
 あ、でも父さんならあそこにも気付いて調べてるだろうな。
 もし元の世界に帰れたら父さんに何があるのか聞いてみよう。
 いや、その前にタバサと一緒に探検するほうが先か。
 タバサと一緒なら迷ったりしないし、最悪リレミトがあるし。
 僕もうかつだったなあ。あんな所に隠しダンジョンがあるなんて。
 これも帰れたらになるけど、このお城をじっくり探検しないと)

迷宮のことは気になるが、この殺し合いの場においては調べる必要がない。
それがレックスの迷宮に対する重要度だった。

このお城に住んでいるが故に、僅かに感じた風の流れ。
それも森の中にあったお城が水に囲まれた場所に移動したからだと考えた。

このお城を走り回り、いたずらをしたり隠れたり。
お城のことを隅々まで知っていたからこそ僅かな変化に気付いて見つけた迷宮。
だが、お城のことを知ってしまっているが故に、その迷宮がもともと存在しなかったことに気付かない。


レックスとアルルゥは城下町の探索を終え、
ベルカナの指定の時間が近くなってきたのを見て、二階へと上がる。

……そこに何の問題も持たず。


  *  *


上階へ行った梨々は、レックス達の部屋の物色を始める。
そして役に立ちそうなものをいくつか見定める。
ついでにベルカナのためにとタンスもいちおう覗いてみるが、やはり何もない。
ベルカナのほうはどうかとみてみると、何やら悩んだ顔で立ち尽くしていた。
梨々はベルカナに声をかける。


270:◇7KR.e180t. 代理投下
08/07/25 14:30:57 uDEb6x49
「どうしたの? ベルカナさん」
「……どうしてこの城はここにあるのでしょう?」
「え?」
「このお城は、レックスの住んでいたお城だと言っていましたよね?」
「うん、そうみたいだね。それがどうかしたの?」
「どうしてジェダは、このグランバニアというお城をこの島に置いたのでしょう?」

梨々はベルカナのその問いに少し頭をひねる。

「……どういう意味?」
「このお城はグランバニアに模して造られた……
 いえ、私たち参加者が連れてこられたように、レックスの世界から飛ばされて来たのでしょう。
 ですがどうして、わざわざお城を別の世界から飛ばしてきたのでしょう?」

お城が本物によく似たレプリカだという考えが先行したが、
隠し部屋にある宝物庫はレックス曰くそのままだった。
そのような場所まで、さらに言えば宝の中身まで同じだというのはおかしい。

1階の城下町も昨日まで宴会をやっていたと思しき後がそこかしこにある。
机の上に並べられた皿、机に人がよりかかったようなしわの跡、空瓶。
隅の方には調子に乗りすぎた人によるものか、嘔吐物まであった。
レプリカだとしても、リアリティを追及するには度が過ぎている。
机の上などにあるはずの食べ物は綺麗になくなっていたが、これは武器や衣服などと同様回収されたのだろう。
突然生き物だけが消えた。そんな風に感じるほどこのお城は生活感がありすぎる。

つまりお城はよく似た別のものじゃなく、正真正銘レックスの知るお城だということだ。
一から城を作ればいいものを、どうしてわざわざ建物も世界から切り取ってきたのか。

「う~ん……お城を作るのが面倒くさかったからじゃないかな?」
「と、いうと?」

ベルカナが続きを促す。
梨々は少し考えてから、話しだす。

「ジェダって結構いい加減なところがあると思うんだ。気まぐれっていってもいいかな?
 そう言う奴だから、適当な場所からお城を盗んできたんじゃないかな?
 一番最初の場所で、ここにいる参加者の全員が集まったときがあったでしょ?
 もともとジェダはただ殺し合いをさせるつもりだった。
 一番最後に残った人を救世主として迎えるって言って。
 でも軍服を着た男の子が文句を言ったことで、
 優勝者の特典に『なんでも好きな願いを叶える』ってことを付け加えた。
 こっちはきっと殺し合いに乗る人を増やすための嘘なんだろうけど、
 でもそれに加えて3人殺したらご褒美をくれるって話もしてる。
 放送でも既に4回もご褒美の権利が発生してるってわざわざ言ってるし、たぶんそっちは本当。
 ぱっとした思いつきでそういうことをしちゃうくらいだし、建物も適当に呼んできたんじゃないかな?
 レックスを連れてきたついでにお城も持っていった……って感じに」

その返答にベルカナはなるほど、とうなずいた。
テレポートで容量の大きな物を運ぶのは難しい。
だからベルカナはお城を運び出すよりも、新しくお城を作る方が簡単だと考えた。


271:◇7KR.e180t. 代理投下
08/07/25 14:32:59 uDEb6x49
だが梨々は人間を飛ばせるなら建物も飛ばせると考えた。
魔法についてよくしらない、梨々だからこその発想だ。
ジェダに、さらに言えばここの参加者たちにも自分の常識は通じない。
そのことを改めて認識する。

先ほどの会話でレックスから天空城について聞いていたことも大きいだろう。
その城は特殊な構造をしているらしいが、空を飛ぶのだという。
その話を聞いたあとでは、建物の移動も簡単だと考えるのも無理はない。

ベルカナはさらに考える。
確かに、ジェダは気まぐれな部分を持ち合わせているが、
86人もの参加者を気付かぬ間に集めたりと、用意周到さも目立つ。
そういう人物が、ただの横着でお城を別の場所から飛ばしてきたりするだろうか?
さらにいうなら、どうしてわざわざ参加者とゆかりのある建物を選んだのか?
もしや、関係のある建物を置くこと自体に何か意味があるのでは…?
そうベルカナの思考は移動する。

「……それではどうしてレックスとゆかりのあるこのお城が選ばれたのでしょう?」
「え?」
「梨々のいる世界には馴染がないかもしれませんが、お城と言うのもいくつかあります。
 他の世界のお城や、そうでなくてもレックスの世界にある別のお城を持ってきてもいいのに、
 何故あえてレックスがよく知るグランバニアが選ばれたのでしょう?
 もしかして『何らかの意図を持って』このお城がはここに呼ばれたのではないでしょうか」
「考えすぎじゃないかな? …でも何らかの意図って?」
「わかりません。いくつか推測はできますが、どれもこれも推測の域を出ませんしね。
 ですが、そうして考えることが、ジェダを出し抜く第一歩になると思います」

目先のことばかりに囚われているが、この殺し合いの舞台ででやらなければならないことは、
この島からの脱出。あるいはジェダの撃破だ。
だが手掛かりがない以上、まずは些細な疑問を膨らませて考察することから始める。

「例えば、見知った建物をそこかしこに置くことで、その建物に注目させるため、とか。
 通常ならば城や街、梨々のいう学校という場所は、拠点になりうる場所です。
 それ以上の価値はなく、建物自体に注目されることはないでしょう。
 ですがそれが、自分たちの知っている場所だったら話は別です。
 どうしてその建物がここにあるのか、と建物に注意が向くはずです。」


このゲームの参加者が島に飛ばされて、どういう行動を取るかはわからないが、
大抵の者は目立った施設―それも自分の知っている建物へと向かうだろう。
ベルカナなら城、梨々なら学校。そして大抵の人間なら街。
明確な目的を持って行動する……例えば首輪の解体やジェダの居場所を調べようとする人もそうだろう。
だがこの場において、そのような情報が安易に見つかるとは思えない。
そうしたなかで、この会場に見知った建物があるという情報をえたらどうするだろう。
そこに何らかの意図があると見出し、深く思考するだろう。
ベルカナはそれがフェイクであると考えた。


272:◇7KR.e180t. 代理投下
08/07/25 14:33:34 uDEb6x49
「考えすぎじゃないかな? このお城だってたまたまレックスがいたからそうなっただけなんだし」
「そうですわね。このお城がグランバニアだと気付くのもレックスとその妹のタバサだけでしょうし。
 確率的には40分の一。ですがそれぞれの参加者とゆかりのある建物が他にも存在するとしたら、
 その確率はさらに上がります。恐らく、さがせば私や梨々の知る建物もどこかにあるんじゃないでしょうか?
 そうしてこの島に存在する建物に注意をひきつけるのが狙いなのではないか、と私は考えます」
「……根拠は?」
「何もレックスのお城だけがこの島にあるということは考えにくいでしょう。
 彼だけが例外、というのも変な話ですし。
 他の建物…学校や病院、さらにいえば街にある家や点在する民家、十字架なども、
 どこかから飛ばされてきたと思います。それも恐らく参加者に縁のあるものが。
 あとは、禁止エリアにB-7の塔が指定されたことがその根拠になるかもしれませんね。
 この巨大な塔は非常にわかりやすい目印です。それが使用不可能になるとしたら、
 そこになにかある、と考えるのが普通の発想でしょう。
 もちろん本当に塔に秘密があり、それを隠すために禁止エリアにした可能性もありますし、
 禁止エリアの指定が完全にランダムである可能性もあるでしょう。
 ですからこの考えはまったく確証がありません。
 ですが次の放送でもなんらかの施設が禁止エリアに指定されるようだったら、
 そうしたたくらみがあるかもしれない、と疑ってみてもいいかもしれませんね」

とはいえ確率的にも、6つの禁止エリアになんらかの建物が指定される確率は低くない。
だが完全にランダムに選択したにしては、禁止エリアの指定に違和感がある。
一番最初に塔が選ばれたことに加え、その後の2つの禁止エリアは影響の最も少ない隅。
ある程度主催者の意思が介入していると考えるべきだろう。

「でもそうやって建物に注意を向けさせて、何か意味があるの?」

梨々が疑問を発する。

「そうすることで、建物以外の場所への注意を逸らしている、という考えはどうでしょう?
 何気ない場所にこそ、重要な秘密が隠されていたりするかもしれません。
 そうなると、気にするべきなのはG-2の洞窟あたりでしょうか?
 人工物ならこの考察だと対象に外れますが、これが天然物だとするなら…
 あえて近寄ろうとする人も少ないでしょうし、奥まで調べようという人がいるかどうか。
 そう考えると、南東の廃墟もあやしく思えてきますが……」
「……やっぱり考えすぎだと思う」

梨々がそう発言すると、それもそうかとベルカナも思考を止める。

「まあ、そもそもこの話自体ほとんど根拠のない話ですからね。
 あまり考えすぎるのもよくないでしょう」

ベルカナはそう言って話をきる。
そろそろ約束の時間になりそうだ。二人は二階へと足を進める。


  *  *


四人はそれぞれの収穫を見せあう。
まずはアルルゥからだ。


273:◇7KR.e180t. 代理投下
08/07/25 14:35:54 uDEb6x49
「これ!」
「メダル?」
「ちいさなメダルだ……。アルルゥ、どこで見つけたの?」
「んー。つぼ!」
「調べてなかったつぼがあったんだ…」
「レックス、このメダルはどんな効果を持つのですか?」
「特に効果はないんだけど、これを欲しがってる王様がいるんだ。
 その人に渡せば、いろいろなアイテムと交換してもらえるよ」
「……つまり、この場においては役に立たないと?」
「うん、まあ……そうだね……」
「やくにたたない?」
「う~ん…。でも、貴重なものだから、大切にするといいよ」
「ん!」

アルルゥは大切そうにちいさなメダルをしまった。
続いてレックス。
レックスが出したのは布切れと縄。

「あの……これは?」
「フック付きロープ。冒険した時はボブルの塔って所でに侵入するときに使ったんだ。
 こっちはただのぬのきれ。ベルカナが防具を探してたからどうかなっておもって」

本来ならスライム達の装備になるはずのもの。
というよりも装備うんぬん以前にぼろきれにしか見えない。
この布も隅の方に落ちていた。恐らくスラぼうあたりがつけていたものだろう。

「まあ……これもないよりはまし、ですわね……」

ベルカナはそれをパレオのように腰に巻いた。
これで一応、外からはレースのビスチェが見えなくなった。

ベルカナが見つけたのは、くだものナイフだ。

「何もないよりはましと思いまして。台所に置いてありました」

そして最後は梨々。

「こちらはテーブルクロスですわね。あとこれは…グラス? 普通の?」
「グラスで変わったアイテムはなかったはずだよ。……それがなんの役に立つのさ?」
「ふふーん。後でわかるよ」

後は屋上に放置していた支給品を分け合う。
この支給品は名もなき少女―鈴木みかのものだ。だがそれを4人が知る由はない。
食べ物と水は使用した分をわけ合い、
普通の支給品はこの道具をベルフラウの遺品と考えた梨々が預かることになった。

その後、相談の末一階の宿屋で睡眠を取ることにした一行は、階段を降りる。
理由は襲撃者が来た場合の対処のしやすさなどからだ。
この提案はベルカナによるものだ。異論を唱える者はいなかった。


274:◇7KR.e180t. 代理投下
08/07/25 14:36:26 uDEb6x49
就寝前に梨々は一階の入り口や宿屋のドアにトラップを設置する。
材料は集めたグラスと、テーブルクロスだ。
テーブルクロスをベルカナの果物ナイフでジグザグに切り、長くする。
それをねじったら、ちょっとしたロープの完成だ。
そしてできたロープとグラスを利用することで、簡易な警報装置を作った。

「一体何を作ってるのさ?」
「見てわかんないかなー。トラップだよ」
「罠? ああ、なるほど」
「わな?」

相手が扉を開けたり、布に引っかかったりすると、グラスが割れ、大きな音が響く。
それにより相手に警戒心を与えて歩みを遅め、
グラスの割れる音でこちらも目を覚ますことができる。

梨々がそのトラップを設置し終わるのを確認すると、四人はベットに入る。

そして彼らのバトルロワイヤル一日目は終わりを迎える――


【F-3/城内一階宿屋/一日目/真夜中】
【楽園の再来】
【レックス@ドラゴンクエスト5】
[状態]:疲労、魔力大消費
[装備]:ドラゴンの杖@ドラゴンクエスト5 (ドラゴラム使用回数残り2回)
[道具]:基本支給品×2、GIのスペルカード(『交信』×1、『磁力』×1)@HUNTER×HUNTER、飛翔の蝙也の爆薬(残十発)@るろうに剣心
    魔力の尽きた凛のペンダント、快速シューズ、クロウカード『駆』、穴が空いたナマコ型寝袋
    木村先生の水着@あずまんが大王、モンスターボール(空)@ポケットモンスター、ばくだんいし×8@ドラゴンクエスト5
    海底探検セット(深海クリーム、エア・チューブ、ヘッドランプ、ま水ストロー、深海クリームの残り(快速シューズ))@ドラえもん
    フック付きロープ@ドラゴンクエスト5
[思考]:さて、寝よう。
第一行動方針:今は休んで回復に努める
第二行動方針:ベルカナの魔法で桜の捜索。雛苺から助け出す
第三行動方針:仲間を守りつつ、レミリアとタバサを捜す。
第四行動方針:MPが回復したら、不明アイテムの識別をしたい
第五行動方針:余裕があったら、水中を調べてみたい。
基本行動方針:勇者としてタバサの兄として誇れるよう生きる。でも敵には容赦しない。
[備考]:エンディング後なので、呪文は一通り習得済み
    アルルゥや真紅はモンスターの一種だと思っています。
    ベッキーは死亡したと考えています。
    お城の地下に迷宮があるのを確認しましたが、重要なことだと思っていません


275:◇7KR.e180t. 代理投下
08/07/25 14:39:46 uDEb6x49
【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(中)、右腕の手首から先が動かない。
[装備]:タマヒポ(サモナイト石・獣)@サモンナイト3、ワイヴァーン(サモナイト石・獣)@サモンナイト3
[道具]:基本支給品、クロウカード『泡』@カードキャプターさくら、ちいさなメダル@DQ5
[服装]:普段着である民族衣装風の着物(背中の部分が破れ、血で濡れている)
[思考]:うー…ねむ…
第一行動方針:眠たい。もう寝る。
第二行動方針:レックスについていく。
第三行動方針:ベルカナの魔法で桜探し。
第四行動方針:レミリアやイエローも捜したい。
基本行動方針:優勝以外の脱出の手段を捜す。敵は容赦しない。
参戦時期:ナ・トゥンク攻略直後
[備考]:アルルゥは獣属性の召喚術に限りAランクまで使用できます。
    ゲームに乗らなくてもみんなで協力すれば脱出可能だと信じました。
    サモナイト石で召喚された魔獣は、必ず攻撃動作を一回行ってから消えます。攻撃を止めることは不可能。
    アリス・イン・ワンダーランドに対して嫌悪を覚えています。
    ベッキーは死亡したと考えています。


【梨々=ハミルトン@吉永さん家のガーゴイル】
[状態]:右腕及び全身各所に亀裂骨折(核鉄で回復中)
[装備]:白タキシード(パラシュート消費)&シルクハット@吉永さん家のガーゴイル +パンジーの花飾り
   :核鉄『シルバースキン・アナザータイプ』@武装錬金
    F2000R(残弾23/30)@とある魔術の禁書目録
[道具]:支給品一式×2(食糧、水のみ一人分)、FNブローニングM1910(残弾0)、飛翔の蝙也の翼@るろうに剣心、
    テーブルクロス、グラス×5
[服装]:白タキシード&シルクハット
[思考]:桜ちゃん、無事でいて…
第一行動方針:今日のところはひとまず寝て、ベルカナの回復を待つ
第二行動方針:桜を助ける。そのために雛苺からさくらを盗む。
第三行動方針:殺し合いに乗ってない、友好的な人を探す。
第四行動方針:双葉かリィンちゃんの友達及び小狼を探す。
[備考]:桜の知り合いの情報を聞いている。


276:◇7KR.e180t. 代理投下
08/07/25 15:01:22 uDEb6x49
【ベルカナ=ライザナーザ@新ソードワールドリプレイ集NEXT】
[状態]:骨折数箇所、裂傷多数(核鉄で回復中)、精神力消耗・極大
[装備]:ネギの杖、核鉄LXX70(アリス・イン・ワンダーランド)@武装練金、果物ナイフ@DQ5
    病院服、レースのビスチェ@DQ5、ただの布切れ@DQ5
[道具]:支給品一式×2、懐中時計型航時機『カシオペア』@魔法先生ネギま!、
    黙陣の戦弓@サモンナイト3、返響器@ヴァンパイアセイヴァー、
    消毒薬や包帯等、エッチな下着@DQ5
[服装]:入院患者用のパジャマ(上だけ) とただのぬのきれ。その下にレースのビスチェ
[思考]:ようやく眠れますわね
第一行動方針:六時間以上眠り、精神力を全開させたい
第ニ行動方針:朝の放送でイエローが無事だった場合、『交信』でイエローと連絡する代わり、ロケーションで桜救出に協力する。
第三行動方針:イエローと合流し、丈からの依頼を果たせるよう努力はする(無理はしない)
第四行動方針:まともな服が欲しい。仲間も集めたい(イエローの友人の捜索。簡単には信用はしない)
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
[備考]:葵が死んだことを知りません。
  レベッカ宮本を『フォーセリアのレッサー・バンパイア』だと考えている?


【フックつきロープ@ドラゴンクエスト5】
ボブルの塔に侵入する際に必要になるロープ。かなり長い。


【ちいさなメダル@ドラゴンクエスト5】
メダル王に渡すことで、様々な景品と交換してもらえる。
メダル自体は何の能力もないが、何故か世界中に落ちている。
このロワにおいてはその名の通りただの小さなメダルである。


【ただのぬのきれ@ドラゴンクエスト5】
説明するまでもなく、ただの何の変哲もない布。
スライム族が装備することができる。


【くだものナイフ@ドラゴンクエスト5】
説明するまでもなく、ただの何の変哲もないナイフ。
幼少期のビアンカの初期装備でもある。


277:◇7KR.e180t. 代理投下
08/07/25 15:05:28 uDEb6x49
代理投下完了。

レックス達を危険視してる奴が実はほとんどいないという事実に吹いたw
なんで情報が回らないんだろうな。

278:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/25 22:25:18 8Y6QWWhD
投下乙。
これで朝まで何も起きなければ
このパーティ、かなりの戦力が期待できるな。
読みやすい文になってるし実に乙でした!

>>277
最悪の白い悪魔にはしっかりと伝わってるんだけどねw

279:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/25 23:43:16 sRmkDbud
投下乙。いろんな要素がばら撒かれ、これからどうなるのか気になります。

280:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/26 17:24:25 4quX+LIv
投下乙です。

281: ◆CFbj666Xrw
08/07/26 23:56:34 tc002/sR
修正案の方は概ね賛成いただけたようですので、
明日にでも投下しようと思います。
たくさんのご意見ありがとうございます。

282:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/27 22:38:18 VC7XsI42
>>278
なのはは超威力&超射程&超範囲の攻撃持ちだからなぁ……。
不意討ちされるとホントに全滅しかねない化け物だ。ある意味、
今のレックス一行にとってはジェダ以上の強敵かもしれない。

……寄りによって一番伝わってはいけない人に伝わってんだなw

283: ◆CFbj666Xrw
08/07/27 23:19:26 MFvp34ks
それでは投下を開始します。

284:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?
08/07/27 23:22:10 MFvp34ks
「消えた!? 転移したのか……?」
友人に向けて突き出した刃は、埃っぽい空気を焦がすだけだった。
ヴィータは呆然と目を見開く。
全てが空回りだ。
何もかもが上手く行かない。
行為が実を結ぶことは無く、願いに手は届かない。
「くそ、一体何処に……」
「……あら」
ヴィータの背後で、紫穂の声がした。

「どうした!?」
振り返って睨んだその先で、紫穂は窓の外を見ていた。東の窓だ。
「今あっちの方で、何かが光った気がするわね」
「本当か!?」
ヴィータも慌てて窓際に駆け寄ったが、そこに見えるのは漆黒の夜闇だけだ。
暗い木々の影が全てを墨のように塗り潰している。
「向こうには確か、塔が有ったわね」
「光ったって、本当に見たのか?」
「気のせいかもしれないわ。確認に行ってみる?」
「…………当たり前だ」
もしかしたら転移の際に伴う光かもしれない。魔法の転移なら魔方陣の輝きが現れる。
アリサが消えた時にはそういった光も無かったはずだが、現れる時もそうとは限らない。
このタイミングなら、そういう事かもしれない。
ヴィータは廃病院から飛び出した。紫穂もそれに付いて、東の森へと入っていった。
横顔に、暗い笑みを浮かべて。

     * * *

「…………うん?」
森の中でインデックスを休ませていたリンクは、ふと木々の合間を振り返った。
そこに見えるのは漆黒の夜闇だけだ。
暗い木々の影が全てを墨のように塗り潰している。
「ん……どうしたの?」
木にもたれかかっていたインデックスが、訊いた。
「なんだか向こうのほうで何か見えた気がしたんだ」
リンクが指差すのはインデックスの背後の森。何も見えない木陰。
しかし二人が耳を澄ましてみても、そこには何も……。
「いや、目が慣れてきた。何か有るよ。あれは…………建物……かな?」
「……あ、そうか。そういえば病院っていうんだっけ、地図に載っていたはずだよ」
森の中を突っ切って工場に向えば、廃病院の近くを通るのはそうおかしな事ではない。
「それじゃここはB-3とB-4の境目辺りか。傷を治す所なら向こうで休めば良かったね」
「ううん、ここで十分なんだよ。どうせ科学側の治療のやり方は判らないし」
インデックスはそう答えると、西の方角に視線をやった。
「それから、そろそろ西の方に方向修正した方が良いかもしれないんだよ。
 間違えて工場と病院の間を北に抜けてしまうといけないから」
「それじゃいっそ、海岸まで出た方がいいね。休憩が終わったら西に向おう」
「うん」

彼らが森の中でパタリロとエヴァに遭遇するのは、これから少し後の事になる。


285:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?
08/07/27 23:23:03 MFvp34ks
【B-3南端/森/1日目/夜中】
※この後、第236話『みかけハこハゐがとんだいゝ人だ』に続きます。
【リンク(子供)@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
[状態]:左太腿、右掌に裂傷(治療済み)、左肩に打撲
[装備]:勇者の拳@魔法陣グルグル、コキリの剣@ゼルダの伝説
[道具]:基本支給品一式×5(食料一人分-1)、クロウカード『希望』@CCさくら、歩く教会の十字架@とある魔術の禁書目録
   時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん、エスパー錠とその鍵@絶対可憐チルドレン、
   ふじおか@みなみけ(なんか汚れた)、5MeO-DIPT(24mg)、祭具殿にあった武器1~3つ程、祭具殿の鍵
[服装]:中世ファンタジーな布の服など。傷口に包帯。
[思考]:西へ向い、工場を目指す
第一行動方針:工場を目指す
第二行動方針:工場に向かい、ヴィータを説得する(無理なら…?)
第三行動方針:ニケ達と合流し、エヴァの伝言を伝える。
第四行動方針:なのはやエヴァを探す
第五行動方針:もし桜を見つけたら保護する。
基本行動方針:ゲームを壊す。その後、できることなら梨花の世界へと赴き、梨花の知り合い達に謝罪したい。
参戦時期:エンディング後
[備考]:リンクが所持している祭具殿にあった他の武器が何なのかは次以降の書き手さんに任せます(少なくとも剣ではないと思われます)。
    リンクは祭具殿の内部を詳しく調べていません。
    夜明けまではヴィータが工場にいると思ってます。

【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:軽度の貧血、背中に大きな裂傷跡と火傷、服が欲しい
[装備]:水の羽衣(背部が横に大きく裂けている)@ドラゴンクエストⅤ、
    葉っぱの下着(片方)、鉄性の斧@ひぐらしのなく頃に(?)
[道具]:支給品一式(食料-1日分、時計破損)、 ビュティの首輪、
[思考]:西へ向い工場を目指す
第一行動方針:工場を目指す
第二行動方針:リンクについていき、ヴィータを止める
第二行動方針:ニケ達と合流する。
第三行動方針:アリサを探す。紫穂のことも気がかり。
第四行動方針:落ち着いたら、明るい所でじっくりビュティの首輪を調べたい。
基本:誰にも死んで欲しくない。状況を打破するため情報を集め、この空間から脱出する。
[備考]
拾った双葉の型紐が切れたランドセルに荷物まとめて入れています。
インデックス自身のランドセルは壊れているので内容物の質量と大きさを無視できません。
エヴァを完全に敵とみなしているわけではないが不信感あり。


やがてインデックスとリンクは休憩を終えて再び工場を目指した。
それから更にしばらくして、再び廃病院に足音が響いた。
ヴィータと、紫穂だ。
「くそ、やっぱり無駄足だったじゃないか」
「そうね、残念だわ。くすくす」
紫穂は落胆した様子も無く、まるで嘲るように笑ってみせる。
紫穂にとっては当然の結果であり、成果だ。
「……なにがおかしいんだよ」
「別に? なんでもないわ。何も無かったじゃない」
そう、何も起きなかった。
“ヴィータとインデックス達は出会わなかった”。

アリサが転移により姿を消した時、紫穂は咄嗟にサイコメトリーを使い廃病院の空間情報を読み取っていた。
そして見つけたのだ。すぐ近くまで来ていたインデックス達の姿を。
(ヴィータに殺させても良かったんだけれど、何か説得の切り札でも有ったら厄介よね)
そもそもインデックスはヴィータが殺したはずなのだ。
にも関わらず彼女が生きていたという事は、ヴィータが殺し損ねた、あるいは殺さなかった事を意味している。
可能性は低いが、もし殺し損ねたのならその上で増援を連れてきた彼女の存在は警戒すべきだ。
そしてもし殺さなかったのであれば……。
ヴィータは、まだ堕ちきっていない事になる。


286:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?
08/07/27 23:24:24 MFvp34ks
(うふふ、ごめんね。おかしくないというのはウソよ。
 だってあなたがおかしくてたまらないもの。
 双葉ちゃん……あなたにとっては見ず知らずの、でも罪の無い少女が私に惨殺された事を黙認したじゃない。
 それどころかアリサちゃん……元の世界の友人にまで情報を求めて刃を向けたんでしょう。
 大体殺し合いに乗ったのは誰の意思かしら? 私は何にも口出ししなかったわ。
 それなのに、この島に来てから短い間を共にしただけでも仲間は殺したくないなんていうの?
 ふふ……あははははっ、ダメ、おかしくて吹き出しちゃいそう! 本当におかしい!)
紫穂は内心の笑いを堪えながら、何とも無い様子で休憩の準備を始める。
適当な、瓦礫の少ない病室を選んでベッドに腰掛け、食事の準備をしていく。
アリサには逃げられてしまったのだから、とりあえずは休む事にした。

「くそ、本当に何か見たのか!? 適当言ったんじゃないだろうな?」
騒ぎ立てるヴィータを無視して支度する。
「大体……なんでアリサを殺そうとしたんだよ? おい!?」
(ああ、だけどちょっとはかまってあげてもいいかしら?)
それなりに理論武装はするのだろうけど、彼女の友人を殺そうとした事に対する反論は滑稽だ。
何を言おうと、その根底に有るのは未練でしかないのだから。
くすりと笑い、だけどその前にパンを一口。それから水を一口喉に流し込んだ。
空腹の体にはそれさえも美味しかった。
「まともに話聞く気あるのかよ! まず食うのをやめろ!」
紫穂はなんともないという表情で、ヴィータへと向き直った。
「だって喉が渇いたもの。おなかも空いたし。あなたは空かないのかしら?」
今更アリサを殺そうとしたことなんて、あなたが気に病む事じゃないのだと。
そう、嘲う為に。
(ふふ、それにしてもあの子は本当にどこへ飛んだのかしらね?
 のたれ死んでも面白いけど、もっと面白い様で再会してくれないかしら。
 ヴィータがもっとどうしようもなく堕ちる切っ掛けになるように、ね)
夜は尚も更けていく。


【B-3/廃病院/1日目/夜中の終り頃】
※:この直後、第201話『まひるの星は琥珀色に -dolls and humans-』の描写へと続きます。
【三宮紫穂@絶対可憐チルドレン】
[状態]:精神汚染。
[装備]:邪剣ファフニール@TOS、ワルサーPPK(銀の銃弾5/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOOD
    ショックガン@ドラえもん
[道具]:支給品一式×3(水1.5人分パン二人分弱-一食)、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE、
     血濡れの庭師の鋏@ローゼンメイデン、きんのたま@ポケットモンスター、包帯、
     双葉の肉片セット
[服装]:病人着
[思考]:せいぜい踊りなさい、お人形さん?
第一行動方針:利用できそうな仲間を探す
第二行動方針:参加者の復讐心や不和を煽る。
第三行動方針:邪魔者は消す。
基本行動方針:扇動、ステルス、実力行使、あらゆる手段を用いて殺し合いを加速させて楽しむ。
備考:紫穂は朝の放送ではやて殺害犯のことをヴィータに教える約束をしています。

【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:両腕に痺れが残っている、左足に火傷跡、左手爪全剥(痛みは減衰)
[装備]:祈りの指輪@DQ、フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品(食料・水二人分-1食)
    ぬのハンカチ×20(即席ロープ)マシカルアンバーミサイル×6@メルティブラッド 、
    救急箱、はやて特製チキンカレー入りタッパー、
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:話を聞け!
第一行動方針:一先ず紫穂に従う。
第二行動方針:はやてを殺した犯人を見つけ出し、殺す。
基本行動方針:もうどうでもいい。

287:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?
08/07/27 23:25:21 MFvp34ks
高町なのはは、ベッドの上で目を覚ましていた。
すぐ脇にあるメモにも気づいていた。

『私は貴方の味方です。貴方のそばで寝ているのが私です。
もし先に目が覚めてしまいましたら、私を起こしてください。
そしたら手足の拘束を解いてあげます。       ひめ 』

それでも彼女が“ひめ”を信じる理由は余りに薄弱だった。
あるいはそうでなく心理上の、例えば自罰的な理由だったのかもしれない。
彼女は細いワイヤーに拘束された両腕で足掻き出した。
ワイヤーが食い込んでいく。痛みを彼女に伝えていく。
高町なのはを縛るエーテライトはそう容易く千切れるような物では無いし、解くのも困難だ。
高町なのははそれを理解していた。
それでも足掻き続ける。もがき続ける。
何も叶わない、何も届かないちっぽけな世界で、ただひたすらに。

足掻き続ける。

工場に誰かが訪れる気配は、まだ無かった。


【A-3/工場内部(仮眠室)/1日目/夜中】
※:この後、第201話『まひるの星は琥珀色に -dolls and humans-』の描写へと続きます。
【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:左腹部に銃創(処置済み・回復中)、全身に中程度の打撲(回復中)、軽度の火傷、疲労感大、 睡眠中
[服装]:ゴロンの服
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に、バトルピック@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式×7(水と食料少々減)、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、
神楽の傘(弾0)@銀魂、 、魔晶石(15点分)、テーザー銃@ひぐらしのなく頃に、
ロボ子の着ぐるみ@ぱにぽに、 林檎10個@DEATH NOTE、勇気ある者の盾@ソードワールド、
ドラゴンころし@ベルセルク 、エーテライト×1@MELTY BLOOD、ころばし屋@ドラえもん、
小銭入れ(10円玉×5、100円玉×3)、胡蝶夢丸セット@東方Project、エルフの飲み薬×1(1/4程消費)@ドラゴンクエストⅤ
[思考]:待っててね、スヴェン……。
第一行動方針:睡眠中
第二行動方針:「主人役」にはできるだけ他参加者の抹殺を進言し、なるべく早く全ての戦いを終わらせる。
第三行動方針:ブルーはもうどうでもいい。見つけたら殺す?
基本行動方針:マーダーチームの戦闘要員として行動し、最後の最後に「主人役」に牙を剥いて優勝する。
         そして全てを忘れて、元の世界に戻る。
[備考]:第一回放送をまともに聞いていません。
    ブルーが「4歳児の姿」になるのは、ブルー本人が持つ特殊能力だと信じています。
    高町なのはを「主人役」として定めました。また、なのはには自分のことは隠し、『ひめっち』と名乗ることにしました。
    髪を切りました。
    ゴロンの服の特性に気付いていません。

【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力回復中、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、 両手首から軽く出血、精神負担大
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project、クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら
[道具]: なし
[思考]:――
第一行動方針:拘束から逃れる?
基本行動方針:ジェダを倒して生き残りで脱出?
※なのはのベッドにはイヴの書いた置手紙が置いてあります。
今の状態で起きても、手紙の内容は把握できる位置にあります。

     * * *


288:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?
08/07/27 23:27:24 MFvp34ks
『アリサさん―ヘルメスドライブを。はやてさんがやったことを』
「え―」
『早く!』

ルビーの声に急かされ、アリサは念じた。
ヴィータの剣が迫り、紫穂の銃口が向けられる最中で、紫穂は思った。
どうしてこんな事になったのだろう?

この世界はあまりに理不尽だった。
フェイトは何処かで殺されて、はやては積み重なった不運により、親友であるなのはに殺された。
そしてヴィータは―。
(どうしてこんな事になるのよ)
本当に理不尽だった。
世界そのものが許せなかった。
こんな世界に彼女達を放り込んだ―存在が、許せなかった。

『大丈夫ですよ、アリサさん。転移成功です!』
「え……?」
アリサは薄ぼんやりとした闇の中で、目を開けた。
そして、見た。
「……ちょっと待った。ルビー、ここって一体……何処なの?」
『私は見たことが有りません。ですが……アリサさん、一体誰を思い浮かべました?』
「……それは…………」
足元は石畳のように整えられてはいるものの岩盤を刳り貫いたように荒々しく、
周囲を照らす蝋燭の揺らめきで一層不気味さを増している。
見覚えが、あった。

「ふむ、ようこそと言うべきかな? アリサ・バニングス」

ぞくりと全身に怖気が走った。
(この声……!!)
手も足も、凍りついたように動かなかった。
頭は灼熱したように煮え立ち、何も考えられなかった。
視界までもが日に焼けた写真のように白く染まっていた。
激烈な感情が全てを塗り潰していた。
『誰ですか、あなたは!?』
ルビーの叫びが響く。
そう、ルビーは恐らくこいつの姿も声も知らないだろう。
だけどアリサは知っていた。こいつと出会っていた。
バトルロワイアルが始まってからずっと一緒に居たルビーの知らない、その前に出会った存在。
「そういえば支給品にまでは挨拶をしていなかったか。その意味も無いと思っていたのでね」
アリサは金縛りにあったように力の入らない全身へと力を送る。
渾身の力で体を動かし、振り返り、そいつの姿を目に映して……叫んだ。
「…………ジェダッ」
彼は鷹揚に頷いて、応えた。
「如何にも。私は魔界の救世主、冥王ジェダ=ドーマ。このバトルロワイアルの主催者だ。
 参加者とは半日と少しぶりになったね」
アリサの目の前にバトルロワイアルの主催者がその姿を見せていた。

289:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?
08/07/27 23:28:50 MFvp34ks
『アリサさん逃げて!』
ルビーの声で、強張っていた体が動いた。
ジェダに背を向けて一目散に広間の入り口へと走り出す。
最初に連れて来られた時は閉まっていた扉も開いている。そこへ向けて、走った。
走る、駆ける、疾る!
(とにかくこの広間から逃げ出してそれから……っ)

目の前に、虚ろな眼球が有った。
「ひあ!?」
尻餅を着いた。
息を呑んだその眼前に鋭いフォークが突きつけられる。それも、無数に。
「……シンニュウシャ」
まるで人の言葉そのものに慣れないような発音が聞こえた。
人間の少女と蜂を掛け合わせたような、ソウルビーがアリサの周囲を取り囲んでいた。
その中の一人、いや一匹が声を発している。Q-Beeだ。
「タベテ、イイ?」
(たべ……?)
アリサの怯えた眼を、Q-Beeの頭部にある奇妙な飾りが覗き込む。
Q-Beeの顔はアリサよりやや下を向いている。その眼には、何も映っていない。
アリサは唐突に閃いた。
(違う、これ飾りじゃない! これってまさか……眼……!?)
Q-Beeの眼は頭の飾りの方であり、顔に付いた眼球こそが飾り、ただの擬態なのだと。

途端に喉から生理的な嫌悪感が込み上げて、アリサは思わず吐きそうになった。
頭部の飾りの方を眼球として認識した途端、ソウルビーはただヒトガタを摸しただけの、
人とは全く違うおぞましい怪物へと姿を変えていた。
美術の授業で見た、見方によって何が描いてあるか変わってしまう絵のようだった。
「……タベテ、イイノネ?」
「ひっ」
怯えの声が漏れ、喉元のフォークを更に強く突きつけられた。
思考は再度恐怖で塗り潰されて、フォークが無くても動けなかったかもしれない。
「いや、食べてはいけない」

皮肉にもそれを遮ったのは最も憎むべき声だった。
「今回は事故のようだからね。無知故の抵抗ではなく、未熟故の失敗にすぎない。
 私は優しくは無いが、その程度は許す程度に寛容なのだよ。彼女は未だ参加者なのだから」
ジェダはそういって楽しげに笑う。
イレギュラーで参加者が主催の目前に現れた事態さえ、彼にとってはその程度なのだろうか。
「そういえば北東の街にご褒美はあげてきたのだったか。あそこは順調かね?」
「アゲテキタ。デモ、マダヨバレルカモシレナイノ」
「ふむ。あの町に居るご褒美の権利者は何人だね?」
「アトフタリ」
ジェダはふむと頷く。
「連続して呼ばれるかもしれないね。
 毎回の報告は省略して構わない、後でこちらから聞きに行くとしよう」
「ワカッタ」
Q-Beeはフォークを引っ込めると、P-Bee達を引き連れて広間の扉から出て行く。
その背中にジェダが声をかけた。
「ああ、そうだ。P-Beeの一人には“物置”から物を取ってきてもらおうか」
「サガシモノ?」
ジェダは頷いて言った。
「私の力で無理矢理やれなくもないだろうが、ここは念を入れて物を使うとしよう。
 この場合なら……未来世界と繋がっている地球に丁度いい物があったな。
 第6番倉庫の23番だ。
 そちらのカレイドステッキは同じ世界の物を使えばやりやすいか。
 第15番倉庫の4番から取ってきたまえ。まだ一本くらいは残っていたはずだ」
P-Beeの一匹はこくりと頷き、Q-Beeとは逆の廊下へと消えて行った。
ソウルビーの群れは去り、再び広間にはジェダとアリサ、カレイドステッキが取り残される。
静かな、そしてどこか生々しい薄闇が広間を覆っている。

290:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?
08/07/27 23:29:56 MFvp34ks
「な、なにをする気なのよ?」
不安げなアリサに対し、ジェダは優しく諭すように応えた。
「怖れる事は無い。私はまだ君を殺すつもりはないよ。
 君にはもう一度あの会場に戻って殺し合いを続けてもらわなければならない」
殺し合い。そう、アリサはあの島で殺し合いを迫られていた。
あの島は、仲間や親友と殺しあう事を要求していた。
「……どうしてよ」
ほんとうに、どうして。
「この出会いはヘルメスドライブに生じた破損が偶然にも転移先の制限を外した為に過ぎない。
 形態の固定など色々手を加えたせいか、武装錬金は少々不安定だったようだね。実に失礼した。
 君をあの島に送り返す時はしっかりとロックを掛け直しておく。
 安心して殺し合いに励んでくれたまえ」
「………………」
この救世主を語る悪魔は、どうして。
アリサは恐怖を怒りで塗り潰して、睨みつける。
腹から渾身の絶叫を搾り出した。
「どうしてわたし達が殺しあわなきゃならないのよ!
 一体どうして、なんで、なんの為に! わたし達を殺し合わせてどうするつもりなのよ!!」
『ア、アリサさん、今歯向かったら……!』
カレイドステッキの制止も知ったこっちゃ無いと振り切った。
「答えなさい! 教えなさいよ、ジェダ! 一体、わたし達に何をさせようとしてるの!?」
例え如何なる理由が有ったところで許せるわけがない。
それでも救世主だのなんだのよく判らない説明だけで殺し合いをさせられるのが悔しかった。
何も知らされず、何も教えられずにただ駒として操られる事は悔しくて堪らなかった。
だから心底から激怒を吐き出した。
その怒りの声を受けて、ジェダはふむと鷹揚に頷くと、少し考え込んだ様子を見せた。
それから、応えた。
「良いだろう、教えてあげるとしよう。私の目的は“魂の救済”なのだよ」
……と。

「残念ながら魔界は今、徐々に滅亡へと進んでいる。いや、魔界だけではない。
 どの世界も争いを消し去ることは叶わず、人々は争いいがみ合い、魂は苦しみ続けている。
 全ての生きとし生ける物は緩慢なる滅亡へと進んでいるのだ。
 実に嘆かわしく、悲しい事だよ」
芝居がかった口調でジェダは語る。
だが、その言葉には心底からの憎しみと嘲りが篭められている。
「全ての魂には安息が必要なのだ。
 君たちのような未熟な短命の者が理解するのは難しいかもしれないがね。
 いやなに、これは君だけが悪いわけではないよ。
 永遠を生きるダークストーカー達すら未来の事を放置しているのだからね。
 緩やかな滅亡へと転げ落ちていくというのに、それをただ座して観続けているのだ。
 誰もこの世を救世しようとしないのだ!」
傲慢なる絶望と倦怠を胸に、ジェダは救世を語る。
アリサには例え理解できても認められる筈が無い理由を。
「ふざけないでよ! 殺し合わせてるのはあんたの方じゃない!」
アリサの胸には正当な憤怒がある。
燃え盛る怒りを言葉に替えて、アリサは救世を否定する。
「本当にそう思うかね?」
「え…………?」
ジェダの言葉など何一つ理解できはしない。
「君が出会った者達は本当に、この島以外で出会えば殺し合わず済んだのかね?」
「何よそんなの、当然でしょ!? あんたが殺し合いを強要したんじゃない!」
アリサは迷わずに信じる答えを突き返す。
あんな島に居ても、殺し合いに乗る事は許せない事だと思う。
アリサを襲った奴らの中には問答無用で襲ってきた奴だって居た。
だけどそれも、きっと全部あんな島に居たせいだと信じていた。
(それにこの島に居なければあんな事故だって起こらなかった!)
“親友の高町なのはが同じく親友である八神はやてを焼き殺す”なんて事、
この島でなければ絶対に起こらなかったはずだ。
それは信頼という以前に厳然たる事実なのだから。

291:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?
08/07/27 23:32:34 MFvp34ks
「如何にも私が君達を殺し合わせている。だが」
ジェダは嗤う。
「君達を連れてきた世界の多くにも、戦いは存在した」
「こんな酷い殺し合いじゃなかった!」
「小さな被害で収まる幸運もあれば、そうでない不幸も有った」
「幸運なんて言葉で片付けないで。なのは達はすごくがんばって、それで……」
「このバトルロワイアルでは不幸を生んだわけだ」
「っ!」
全ての者を憐れむように、ジェダは圧倒的な上位からアリサを見下ろしている。
「なに、仕方の無い事だとも。君達は全てを見通す瞳も全てを理解する知恵も持たない。
 故に惑い、苦しみ、擦れ違い、傷つけ合い、悶え続ける。
 君達の器は神経電流と脳内麻薬から生まれる稚拙な感情で輝ける魂を振り回す。
 実に哀れな事だ」
傲慢なる憐憫が理解を拒む。
アリサの前には理不尽が立っている。

『それで、具体的にはどうするつもりなんですか?』
「ルビー……?」
魔法の杖がそれに抗した。
『人間が未熟で不完全でうっかりすっとこどっこいなおっちょこちょいだとして』
「ちょ、ちょっとそこまで言われてないでしょルビー!?」
“いつも通りの”ツッコミがカレイドステッキに入る。
ルビーは何処吹く風とそれを流し、ジェダに質問を投げかけた。
『冥王様はどうやってそんな魂を救済するんでしょうねー?』
相手を理解する事は相手に屈さず、場を支配しようとする挑戦に繋がるのだから。
ジェダは嘲うように答えた。
「参加者には伝えたのだがね。
 君達には世界を救うためにお互いに魂の選定、”殺し合い”をしてもらう、と。
 そして選ばれし魂の持ち主、つまり最期まで生き残った一人を救世主として迎えよう」
ジェダはこの広間で最初に告げた言葉を繰り返す。

―その瞬間、一つの閃きと共にアリサの体を強烈な寒気が貫いた。

『答えになってませんよ。殺し合いで生き残ったからってその子に何が出来るんですか?
 仮に一人で他の全てを殺したとしても、数十人殺しただけで第六法に辿り着けるとでも?』
「第六法。ふむ、その杖を持ってきた世界における世界を救う秘法だったかね?
 滅亡という未来に気づき打開を挑む者が出ている事は実に素晴らしい。
 悲しいかな人の身では、人を捨てても第六法に辿り着ける気配は無いようだがね」

『……その第六法に、たかだか八十余命で挑むつもりですか?』
「勿論だとも。残念だが、たかが杖に理解できると思うほど私は楽天的ではないよ」

(まさ……か……?)
最期まで生き残った一人が救世主。
その言葉の意味がアリサに重くのしかかる。
アリサにはジェダの力がどういうものかなど判らない。
血液による不気味な格闘術や、この殺し合いを運営する絶大な力がある事しか知らない。
魔術や魔法に関する知識だって、どんな事が出来てどんな事が出来ないのか知らない事だらけだ。
だけど、それでもある事に気づいた。
魔界の救世主、ジェダ。……それは、どうして?
「最期に残った一人が救世主だっていうなら……なんであんたは、魔界の救世主なんて名乗ってんのよ?
 まるで優勝者と自分を同一視しているみたいじゃない!」
思い出す。ジェダの目的は救済だと謳った。
『私以外の者達は愚かだから互いに争ってしまう』のだと。
それは単純な直結だ。だがもしかしたらその解決方法は。
その示す答えは。
この殺し合いの中で何を選び最期に生き残ったとしても。
その先には一切の救いが用意されていない。
そんな未来にしか思えない。
「まるで……世界にはあんた以外に誰も要らないみたいじゃない!?」

292:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it?
08/07/27 23:34:03 MFvp34ks

アリサの推測にルビーも動揺しながら、思い当たった。
『まさか……糧とするつもりですか? 生き残った子供に何かをさせるのではなく、
 その子供と死んでいった子供達を糧にして、あなたの目的を成就すると……!?』
この島にかき集められた強大な力を持った数多くの子供達。
とはいえ幾ら優勝者としてどれほど優れた子供が残ろうと、その一人に何かをさせるのは難しいだろう。
その一人だけでは。
だが殺し合いの中で高まった魂を全て解かして回収すれば、そのエネルギーは絶大だ。
更に、それをジェダが使えば?
ルビーの魔術知識に分類するならば平行世界管理といった魔法にさえ達している、
強大な、且つルビーの魔術知識に無いものまで含まれうる力を持ったジェダが使いこなせば?
(有り得る。ジェダが何をするつもりなのかは判りませんけど……何が出来ても可笑しくは無い!)
アリサの恐怖とルビーの懸念が、ジェダの傲慢を見つめている。
ジェダはうっすらと唇の端をゆがめて。
「ククク……クハ、ハハハ、ヒャハハハハハハハハハッ!!」
甲高い哄笑を上げた。

「実に興味深い。君達の知恵と勇気は私にとって実に好ましいものだよ。
 君達の問いに答え、もう少し話してやるのも面白いだろう。だが」
ジェダは話を打ち切り、アリサの背後を見た。
「どうやらP-Beeは捜し物を終えたらしい。余興はここまでにしよう」
「―っ!?」

いつの間にか、背後にはあの少女を模した蜂の怪物が浮かんでいた。
その右手には奇妙な棒。
その左手には、一見して何も持っていないように見えるほど細い、一本の糸を持っていた。
「ワスレンボー……エーテライト……モッテキタ……」
アリサの横をすり抜け、P-Beeはその二つをジェダに手渡した。
「な、なにをするつもりなの!?」
警戒するアリサ。ジェダは答える。
「なに、先ほど言った通り君は事故で来たにすぎない。
 それにその知性、魂の輝き、何れも素晴らしいものだ。
 もしかしたらもう少し精錬される可能性を思うと、ここで殺すのは愚かしいだろう?」
ジェダは棒を手に取り、操作部分を何か弄っていた。
「ふむ、時間設定はこんなところか。正確に消せるよう、注意しなければいけないね」
「だから何の話を……」
ジェダは応えた。
「このワスレンボーで、君がこの場所において見聞きした事を全て忘れてもらった上で送り返すとしよう。
 君のヘルメスドライブの機能から考えて、高町なのはの居る工場に送るのがいいか。
 それからこっちのエーテライトはそのカレイドステッキ用だ。
 霊子をハッキングして君の記録を消すとしよう。私なら十分にできる。
 そういうわけだ、暫し眠りたまえ。目覚めれば君達はまた、あの島に居る」
「この、そう簡単に……!?」
思う通りになってたまるものかと武器を構えようとした瞬間。
いつの間にか足元に広がっていた血溜まりから伸びる巨大な腕が、アリサの自由を奪っていた。
「しまった……!?」
『この状況を打破できる衣装は……ダメ、手が無い……!!』
動きを封じられたアリサとルビーの元に、ゆっくりと歩み寄っていくジェダ。

そして…………。

     * * *


293:代理
08/07/27 23:54:54 l/DfJNT6
「……痛っ」
何か、金属が降ってきた。頭にこつりと当たり痛みを伝えてくる。
『大丈夫ですよ、アリサさん。転移成功です!』
「……ここは」
目を開ける。降ってきたのはただのガラクタらしい。
場所は……どこかの施設の中だと言う事しか、分からない。

「……どこ?」
『アリサさんは誰をイメージしましたか?』
アリサは少し考えた末に、応えた。
「なのはだと思う、けど……」
アリサは自信なさげに応えた。
『多分、ヘルメスドライブに傷が付いていたからですね。
 それで空間転移にズレが生じるようになったんでしょう。
 いしのなかにいる、なんてことにならなくてよかったですね~』

アリサの記憶にも、ルビーの記録にも、ジェダと遭遇した事柄は何一つ残されていなかった。



【A-3/工場/1日目/真夜中】
【アリサ・バニングス@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:全身に軽い火傷(右腕・顔は無事)、左腕から出血(打撲、軽度)、背中から出血(切り傷、深い)
    上記の怪我は全て応急処置済み。
    精一杯の強がりと確固たる意志。
[装備]:贄殿遮那@灼眼のシャナ、カレイドステッキ@Fate/stay night
[道具]:ヘルメスドライブ@武装錬金(破損中、使用者登録なし、再使用可能時間不明)、はやての左腕
[服装]:割烹着
[思考]:ここになのはが居るの……?
第一行動方針:なのはを見つけ出し、はやての腕に謝らせ、その暴走を止める。
第二行動方針:トマの仲間達とも合流したい。
基本行動方針:ゲームからの脱出。
[備考]:マジカルルビーは、金髪の少女(イヴ)について以下のように認識しました。
  ・少なくとも、殺人を躊躇する参加者ではない。
  ・はやてにより、リリカルなのはの世界観と参加者の情報を得ています。
※:ヘルメスドライブにより冥王城へと転移し、ジェダと遭遇しましたが、
  アリサもカレイドステッキもその内容を覚えていません。
※:この後、『星は届かぬ空から堕ちる -Artificial magician-』の描写へと続きます。


【ワスレンボー@ドラえもん】
頭を突くと記憶を消せる棒。時間指定する事ができる。



294:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/28 00:01:09 WRaqZxeB
と、代理投下終了

295: ◆CFbj666Xrw
08/07/28 00:02:28 f6eNuV8p
日が変わってさるさんが解除されました。
代理投下ありがとうございます。

296:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/28 22:40:24 6cNWf5tq
投下乙
カリスマあふれるジェダ様がふつくしい!ロリコンなんて言ってごめんなさい!
そして動いたリリカルなのは勢、今後どうなるか超期待

297:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/29 18:47:49 3d0NT+Cr
投下乙!
さて、こっからどうなるかだな……。
フラグらしいフラグも出てきてまさしくターニングポイント真っ盛り。
派手に、かつ確実に話を進めていく手腕は凄い!GJ!


話は変わるが、ここで住民の皆に提案がある。
したらばで流れが停止してる「前のSSに感想を~」スレを再利用して
何か投票形式のランキングとかをやってみたいと思ったのだがどうだろうか?
丁度停止する前にもそれらしい事はしてるし、成功すれば楽しい事になりそうな気がするんだ。

どうだろうか?

298:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/29 19:00:58 jDaQye64
投下乙。ジェダ様がどうとか先の話がどうとかより
短いながらも紫穂の愉しげな思考がつぼだったw

>>297
作中時間の0時回ったら第一放送後からのお気に入りSSの投票話でも振ろうかと思ってた。
テーマそれでもそれ以外でも何かイベントするなら付き合うし手伝うよー。

299: ◆7KR.e180t.
08/07/29 22:39:47 NU92Mz7C
急がしくて顔出せませんでしたが代理投下ありがとうです。
規制……されないよね?

300: ◆sUD0pkyYlo
08/07/29 23:50:27 IKASq8xk

リリス、ニア 以上2名予約します。


301:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/30 11:23:46 hB+20lsg
きたー期待

302: ◆7KR.e180t.
08/07/30 12:00:56 d+csdyCU
短いですが孤立されないうちに動かそうと思い、仮投下しました。
これでいいようなら若干加筆した後に投下したいと思います。

同時にキルア、シャナ、弥彦を予約します。

303:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/30 13:57:01 /pW346Sv
>>300
期待。

>>302
特に問題は見当たらなかった。そのまま投下でいいと思う。

304: ◆7KR.e180t.
08/07/30 17:25:59 d+csdyCU
この話は破棄します。
予約も取り消します。すみませんでした

305:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/30 20:30:37 erN9ISrf
>>295
投下乙
蟲毒と同じ原理で魂を昇華させるという試みは結構成功してる気がするな
ロワ内で成長したロリショタの多いこと多いこと(そりゃもう色々な方向に)

>>300も期待

306:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 15:24:42 qGFd4eI1
>>300
期待

>>304
破棄乙。
つまらない話を連発されるよりよっぽどまし。

307: ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:13:02 +jskVHoU
予約分、投下します。

308:好き好き大好き愛してる。 ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:14:59 +jskVHoU

  ◇   ◇   ◇


好き好き大好き。愛してる。

だから。

来て見て触って、キスして抱いて。

貴方の息遣いを、貴方の体温を。貴方の命を、感じさせて。

おねがい。

あたしを、見て。あたしを、求めて―!


  ◆   ◆   ◆


満身創痍のリリスが「グリーンだったモノ」を抱えB.A.B.E.L.本部に戻ってきた後、無駄としか言いようのない十数分もの時間を浪費しつつもすっかり事の顛末を聞きだした私は、答えました。

「事情は分かりました。
 いろいろ言いたいことはありますが、グリーンの遺体を持ってきたのは正解です」

話を聞く限りでは、グリーンの指示にリリスが素直に従っていれば回避できた可能性のあるトラブルでした。あるいは、リリスがもう少し強ければ相手を圧倒してもう少しマシな結果になっていたはずでした。
まさにこのような時のために2人を組ませたのですが……本当に、使えない。
リリスもかなりの負傷をしているようですし、その戦闘力すら想定よりも下だった、ということでしょうか。だとすれば由々しきことです。

しかしグリーンが殺されリリスが帰ってくるような展開自体は、十分に想定の範囲内。
こうなるかもしれないことも覚悟の上で、彼らを送り出したのです。
決して良い結果とも望ましい結果とも言えないが、しかし絶望するような状況でもない。それが私の判断でした。

混乱し要領を得ない様子のリリスから、それでも必要なことを聞き出した私は改めてグリーンを観察します。
既に死んだグリーン。胸に大穴を開け大動脈から心臓から肺から取り返しのつかない傷を負った遺体。
逆に言えば、それ以外はほとんど無傷なままの遺体。
もはや手当ても間に合わぬ姿です。いまさら彼の遺体に向けて恨み言を言ったところで、何の益にもなりません。また、そんな無駄なことに時間を費やすつもりもありません。

ともあれ、こうして「帰ってきてくれた」以上、やるべきことはもう1つしかないでしょう。
私はこれ以上時間を無駄にすることなく、命じました。

「リリス。グリーンの遺体から、首輪を取って下さい。
 彼の首を斬っても捻じ切っても構いません。ですが、首輪そのものには傷をつけないように」

そう。初期の想定以上に無能ではありましたが、グリーンは最後の最後に、私の期待した「最低限の仕事」は果たしてくれたのです。
つまり―実物の「首輪」の確保。「首輪」がついた死体の確保。
既にグリーンの持っていたハリボテの首輪を調べ解体しある程度の情報は確保していましたが、それでも実物が有ると無いとでは大違い。
リリスがこうしてグリーンの遺体を持ち帰ってくれたのは、本当に僥倖でした。おそらくそこまでの理解あっての行動ではなかったでしょうから。
あとは首を斬り落とすだけ……ま、この手の「力仕事」は、リリスの仕事でしょう。せめてこの程度のことには役立って貰わなくては。


309:好き好き大好き愛してる。 ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:16:05 +jskVHoU

  ◇   ◇   ◇


好き好き大好き。愛してた。

だから。

来て見て触って、キスして抱いた。

貴方の息遣いを、貴方の体温を。貴方の命を、身体全体で感じ取った。

今思い返せば、あの頃は……幸せ、だったのかな。

でも。

もう。

恋の魔法は既に解け。

貴方の命は既にない。

貴方はもう、ただの生首。

あたしが斬り落とした、物言わぬ生首。

そっと抱き上げてみたけれど、もう感じることができなくて。

貴方の息遣いが、貴方の体温が。貴方の命が、感じられない。

おねがい。

もう一度、あたしを見て。

もう一度、貴方の声を聞かせて。

もう好きでもないし、もう愛してもいないと思っていたけれど。

もう好かれてないし、もう愛されてもいないと思っていたけれど。

それでも。

それでも、もう一度だけ、貴方と触れ合いたい―!


  ◆   ◆   ◆


310:好き好き大好き愛してる。 ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:17:54 +jskVHoU

建物を探索し施設内のコンピューターを掌握し、私が理解した限りでは、このB.A.B.E.L.というのは超能力を研究する日本で最大最高の公的組織、ということでした。
超能力。普段であれば一笑に付すような冗談でしかない単語です。
ですが私は既に「普段の常識」を捨ててこの場に臨んでいます。メタちゃんのような非・常識的存在や、リリスのような異能の持ち主と遭遇しています。だから、超能力の存在も頭から否定するようなものではありませんでした。
むしろ、この建物の研究設備、そしてそこに残されていた研究資料は、私のような者には理解しやすい性質のもの。現代科学の「さらに先」。冗談のような超心理学―。
それでも、科学は科学。医学・心理学・物理学・生化学など、私の知る現代科学の延長線上に存在する、理詰めで分析可能なモノでした。
もちろんいかに私といえども、この短時間でその原理をきっちり押さえて把握して、超能力の全貌を理解することは不可能です。
資料の量は膨大で、その主要な部分に目を通すだけでも相当な手間でしょう。十分な時間さえあれば、きっと何の問題もなく私の手中に納まっていたのでしょうけれども。
ただそれでも、表層をなぞるだけなら。
現代科学の延長にある、各種の解析機器を理解し、動かすだけなら。
私にとってはさほどの時間も要しない、実に簡単なことでした。
陣取っていたモニターの部屋を出て、予め目星をつけておいたいくつかの部屋を回り、検査用の機器を動かし。万事順調、何事も問題なしです。
ついでに医療関係の設備の近くにいることも利用して、リリスの傷にも簡単な応急手当を。
最初は彼女に命じて勝手に手当てをしておくように、と言ったのですが、結局私も手伝わざるを得ませんでした。全く手間のかかることです。

「……ねえ、ニア」
「何ですかリリス」

そうして未知の機材を前に解析作業を進める私に、リリスが唐突に声をかけてきました。
2人には、誰かと遭遇した際のトラブル回避のため、迂闊に私の名前は口にしないよう命じておいたのですが……まあ今更それはいいでしょう。
この大事なときに声をかけるのです、無意味な話ではないはずです。例えばそう、先の報告で何か言い忘れたことがあったのなら、早めに言っておいて欲しい。
そう思い振り返りもせず作業の手も止めずに彼女の言葉を待ったのですが。

「お願いが、あるの……。私のこと……抱いて、くれる?」
「嫌です」

即答。
全く何を考えているのでしょう。
グリーンを失いつまり判断力持つ別働隊指揮官を失い、今手元にいるのはリリスだけ。戦闘力だけはあるものの、独自の任務を与えるには不安過ぎる彼女だけ。
この状況下では、リリスに出来ることは大してありません……そう、有事に備えての私の護衛。及び、いざ私自身が移動する必要が出来た時の、足代わり。
言ってみれば、ちょっとした武装ヘリコプターのような存在ですね。今の彼女に期待できるのは、せいぜいがその程度。
ですから、今は私の邪魔をしないよう、そして勝手に歩き回らないよう命じて、放っておいたのですが……。
グリーンからの首輪確保の後、素直に静かにしてるかと思ったら、コレですか。全く本当に、使えない。

311:好き好き大好き愛してる。 ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:19:56 +jskVHoU

「じゃあ……キスだけでもいいから」
「嫌です」
「……なんで? グリーンは、してくれたよ?」
「私はグリーンではありませんから」

なるほど2人はそこまで深い関係を持っていたわけですか。しかし今となってはどうでもいいことです。
リリスに端的な答えを返しながらも、私の解析作業は止まりません。この程度の並行作業は私にとっては何の造作もないことです……が、鬱陶しいことには変わりない。

「じゃあ……何かニアの役に立てたら、ご褒美にキスしてくれる?」
「嫌です。大体、今は貴方に何か仕事をして欲しいとは思っていません。むしろ下手に動かれると迷惑です。
 私の役に立ちたいというのなら、黙ってそこで待機していて下さい」
「……何で? 何でそんなにイヤなの? 男の子って、『そういうの』好きなんじゃないの?
 ひょっとしてニアは、おっぱい大きくないとダメ? だったら私、大きくするよ?
 どうせこの身体、ホンモノじゃないもの。きっと頑張れば、色々変えられると思う。
 それとももしかして、男のひとしかダメなヒト? だったら私も、頑張って男の子に……」
「そういう意味じゃありません」

せっかく首輪から精神感応の反応がキャッチできて面白いことになってきてるのに、勝手に巨乳マニアやホモセクシャルにされてはかないません。この調子では、散々変態の疑いをかけられた上に、最後には性的不能者扱いされかねない。
ここははっきり言い切っておかないといけませんかね。
全く、小人と女子供は御しがたいものです。

「はっきり言いましょう。私は、あなたが嫌いです。少なくとも、好きにはなれません」
「…………」
「それでも『貴方が私のことを好きだと言うから』近くにいることを許しているのです。
 私のために働くことを、許しているのです。
 あまり調子に乗らないで下さい。
 それとも……私の嫌がることを、無理やりに実行してしまいますか? それが貴方の望みですか?」
「…………」

私の問い掛けに、リリスは沈黙します。それはそうでしょう。
今の彼女は『魔女の媚薬』によって私に惚れている状態です。そして普通の恋愛と違い、6時間経過するまではその偽りの恋が醒めることはないという。この状況を、徹底利用しない手はありません。
彼女は決して、私を裏切ることはない。
彼女は決して、私から逃れることはできない。
強いて言えばさっきのような世迷い事を言い出すのが難点なのでしょうが、まあ、逆に言えば彼女が私にかける迷惑は精々がこの程度。仕方のないコストとして受け入れるしかないのかもしれませんね。

ああ、それよりも今は解析です。
首輪の中からの精神感応……これはつまり首輪の中の空洞に超能力を使用できる「生き物」がいると推測され……非常識極まりないですが何らかの超能力なり超技術なりを使えばおそらくは……
とりあえずは超能力者の身体検査に使われていたらしい近未来的な医療機器を応用して解析を……。


312:好き好き大好き愛してる。 ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:21:14 +jskVHoU

  ◇   ◇   ◇


好きなヒトなんていなかった。愛するヒトなんていなかった。

あたしが知っていたのは、無限にも等しい空虚な時間。

「自分自身」からも切り離された絶望、指輪の中に封じられた孤独。

ジェダ様にかりそめの身体を貰っても、真の肉体を持たぬ欠落は埋め切れなくて。

その空虚を埋めたくて、じっとしていられなくて、サキュバスの本能に任せて好きに動きまわった。

欲望のままに、「遊び」を求めたの。

遊んでる時だけは―笑っている間だけは、少しだけ欠落と空虚と虚無を忘れることが出来たから。


好き好き大好き。愛してる。……今思えば、きっとそう誰かに囁きたくて。

でも、その「誰か」が、どうしても見つからなくて。


ネギ君は、情熱的なキスを返してくれた。でも、約束を守らず、勝手にどこかで死んじゃった。

コナン君は、楽しい遊びを提案してくれた。でもやっぱり約束を守らず、勝手にどこかで死んじゃった。

ニケは、楽しく遊びに付き合ってくれた。でも、最後は結局「どっかいけ!」と私を追い払った。

エヴァは、つまらなかった。散々遊びを嫌がって邪魔して、おまけに呼んでもないのにまた邪魔しに来た。

ディなんとか……って子は、やっぱりつまらなかった。ニケと一緒に、邪魔するだけだった。

グリーンと一緒にいた子は、これもつまらなかった。鬼ごっこでも、ちょっと遠くに逃げすぎ。

そして、グリーンは……。


グリーンだけが、応えてくれた。リリスを見てくれた。

来て見て触って、抱いてキスしてくれた。

グリーンの息遣いを、グリーンの体温を。グリーンの命を、感じることができた。

たとえ最初は裏があっても、グリーンは、グリーンだけは、応えてくれた。

だから、言ったの。

抱き合いながら心から素直に、あたしは言ったの。

好き好き大好き、愛してる、って―。


313:好き好き大好き愛してる。 ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:25:58 +jskVHoU

  ◆   ◆   ◆


首輪の大体の構造はB.A.B.E.L.本部の医療機器を用いてすぐに判明しました。
解析作業を進めながら、ジェダたちの内情やQ-Beeと呼ばれていた少女について、背後に控えるリリスへ2、3の質問。十分な回答ではなかったものの推理を裏付けるには役立つ情報を獲得。そこからさらに踏み込んだ考察。可能性を絞り込み、さらに解析。
必要なだけのデータを収集し終え、私はリリスを従え元のモニターの部屋に戻ります。
建物のどこに移動しても最低限の周辺監視は可能なようにしていましたが、やはり、腰を据えて考えるのならばあの場が最適。生データの収集さえ終えてしまえば、コンピューター上の画像処理などはどこででも出来ます。
ならばこの「城」の中核、最も守りと監視が鋭い部屋が最適。そう考えての帰還です。
戸が開くと鼻を突くのは濃密な血の臭い。放置されたままだった首のないグリーンの遺体―そういえばこの遺体もちゃんと「処分」して掃除せねばなりませんね、後でリリスに命じておきましょう―をまたいで部屋の中央、私の定位置と定めた椅子の上へ。
既に転送しておいたデータをさっそく表示、分析を始めます。

「ねえ……」
「…………」

必要なだけの情報を獲得し、必要なだけの材料が手元に揃い、一気に思考が疾走します。
医療機器でデータを取りコンピューター上で3D画像化した透視像を元に構造を把握。容易にその機能が把握できるいくつかのシステムと、全く機能の把握できないブラックボックス―正確には、ブラックボックスの中央に陣取る小さな人影。
他の部分の機能……正確に言えば、他の部分に備えられた機能の「欠如」からその人影の担当する仕事を推測。つまりCPU兼盗聴器兼監視カメラ兼GPS兼通信機兼自爆装置……
まあ、こういう書き方をするよりももっとシンプルに「見張り番が1人1人の首輪に入っている」と言った方がいいでしょうか。それが首輪の機能のほとんどを支配している……。
リリスからの情報から合わせて考えるに、中に入っているのはQ-Beeの部下であり眷属であるP-Bee。その身体を小さくする技術(?)は理解すら出来ない恐るべきものですが、しかしどうやらそれも「借り物」の技術だと見ました。
首輪自体に使われているモノから推察するに、ジェダ自身の持つ技術力・ジェダが自在に使いこなせる技術はそう大したことはないでしょう。
魔法なりなんなりには注意が必要ですが、十分に、つけいる隙はある。

「ちょっと、ニア……」
「…………」

私は分析と考察を進めながら、同時にコンピューター内の文書作成ソフトを起動させ、これまでの考察を簡潔にメモしていきました。
首輪の構造、特にP-Beeが担っている仕事の内容を推察するに、現時点ではこの首輪を外すにはいくつか要素が足りない。それこそ魔法使いなり超能力者なりの協力が必要不可欠。
とことん使えないリリスにはどうやらその手の器用な真似は出来ないようですし、ならばいずれ新たな部下を得た時のために、今のうちに説明のための準備―簡潔にして要点を押さえた考察メモを作っておくことには意味があるでしょう。
盗聴を考慮すれば口頭で説明するわけにはいかず、その場の筆談で書き上げるにも時間がかかる。ゆえに時間的余裕のある今のうちに、メモという形で予め要点を押さえたものを作っておくのです。これさえ見せれば全ての条件がクリアされるように。
ああもちろん、首輪に開いた監視窓からの覗き見を防ぐために、既に私やリリスの首輪は簡単に上から覆って中から見えないようにしています。リリスから聞いたP-Beeの知性レベルではあまり複雑なことは分からないと思われますが、ま、念のための用心として。


314:好き好き大好き愛してる。 ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:27:24 +jskVHoU

「ねえ、ニアってば」
「…………」

メモを書き進めます。書きながら並行して頭脳はフル回転を続けます。
首輪の構造。その機能。P-Beeというパーツの存在。必要となってくる人材。リリスから聞き出したジェダの部下の規模(というより、部下の欠落)。そこから導き出されるジェダ攻略の道筋。考えられるアプローチ。まだ未解決の問題の数々。
例えばグリーン程度の頭の持ち主であればすぐにこれまでの私の考察と手持ち情報が理解できるような、そんなレベルのメモです。相手にメロほどの、あるいは夜神月ほどの頭があればもっと省略しもっと簡潔に出来るのですが、そこは仕方がない。
私が今欲っしているのは智者ではなく超能力などの異能の持ち主。しかし特殊技能の持ち主である彼らに飛びぬけた知性が要求できない以上、こちらが彼らに合わせるしかない。

「……ニア!」
「……五月蝿いですよリリス。邪魔しないようにと言ったはずですが。
 ああそうです、ヒマを持て余しているのなら、そこのグリーンの死体の片付けと血の海の掃除を」

静かにしていろ、と言ったはずなのですけどね。まあ彼女の貧弱な自制心ではこの辺が限界ですか。
メモの作成が一段落したところで私は当面の作業を打ち切り、いい加減リリスにも何か仕事を与えてやろうかと思いつつ振り返って―

どすっ。

「かっ……はっ……?」
「リリスはね……ニアのことが好きなの。
 好きで好きで大好きで、本当に、愛してたんだよ?」

そこにあったのは、何故か過去形で愛を語るリリスの姿。
情欲と哀しみを湛えた瞳で、泣き笑いのような儚い表情を浮かべた、リリスの姿。
場違いにも私らしくもなく、美しいと思ってしまった、そんな彼女の身体から伸びた翼は―
いつの間にか鋭い刃と化して、私の腹部を貫いていました。
……え? 何故、です……?


315:好き好き大好き愛してる。 ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:28:33 +jskVHoU

  ◇   ◇   ◇


好き好き大好き。愛してる。

だから。

来て見て触って、キスして抱いて、欲しかった。

貴方の息遣いを、貴方の体温を。貴方の命を、感じたかった。

でも。

お願いしても、届かない。

貴方はあたしを、振り向かない。

どうしても欲しくて、どうしても手に入れたくて、でも永遠に手に入らないと分かってしまって―

あたしは、我慢、できなくなってしまった。

触れて貰えないから、私から手を伸ばした。

貫いて貰えないから、私が貫いた。

感じるよ。

貴方の息遣いを、貴方の体温を。貴方の命を、感じるよ。

貴方を刺した翼の先から、しっかりと、感じるよ。

あたしが刺した側なのに、胸が張り裂けそうに痛い。呼吸が、苦しい。

本当に、取り返しのつかないことをしてしまった。あまりに甘美な絶望に、頭が痺れる。

ああでも、溢れて零れる、貴方の血、貴方の命。

キラキラ光って、とっても綺麗で―


―ようやく、あなたを感じることができた。



316:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 22:29:56 G2Sf2ZbW
 

317:好き好き大好き愛してる。 ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:30:11 +jskVHoU

  ◆   ◆   ◆


リリスが私に牙を剥く―その最悪の事態を全く想定していなかったわけではありませんでした。
明らかに普通の人間とは異なる身体を持つリリス。『魔女の媚薬』が本来の規定通りの効力を発揮せず、予定よりも早い時間で効果が解けてしまう可能性も、頭の片隅にはありました。
その時のためにいつでも『眠り火』を取り出せるようにしておき、また『眠り火』が使えずともスプリンクラー等の設備を利用した撹乱の準備も行い、万が一の時の逃走ルートや隔壁閉鎖のチェックも万全だったはずでした。
ただ、私の計算違いは……『魔女の媚薬』の効果が切れてもいないのに、リリスが私を攻撃したこと。
考察に夢中になっていたのは確かですが、視界の片隅でリリスの様子は観察しその変化に注意はしていたのです。だから断言できる。まだ『魔女の媚薬』は、効いている。
醒めることなき偽りの恋に支配されているというのに―彼女は、私を、刺した―何故?!
血を吐き、床に崩れ落ちながら、私はリリスを見上げます。
まだ、ここで意識を手放すわけにはいきません。
私にはまだ成すべきことが残っているのですから。

「来て、見て、触って……キスして、抱いて欲しかった。
 ニアの息遣いを、ニアの体温を。ニアの命を、感じたかった」
「ぐっ……うっ……。り……リリス……。
 ま、まだ遅くはありません。私を、医務室に……早く……」
「でもね」

傷は決して浅くはありませんが、まだこのB.A.B.E.L.の技術力をもって治療すれば助かる可能性はある。
そう訴える私に、それでもリリスは聞く耳を持ちませんでした。
思わず見蕩れてしまうような哀しい笑顔のまま、彼女は小さく呟きます。

「ニアは、どうやってもあたしを振り向いてくれないから。
 だったら、永遠に、あたしのものにするの。
 この、『作られた気持ち』が醒めちゃう前に」
「!!」
「よく覚えてないけど……
 『ニアが好き』っていうリリスのこの『気持ち』、グリーンが使ったのと同じ、あの『お薬』のせいなんだよね?
 ぜんぶ、一緒だもの。胸のドキドキも、頭がクラクラするのも、欲しくて欲しくて堪らなくなる気分も」

318:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 22:30:15 aCg32XSW



319:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 22:33:11 aCg32XSW



320:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 22:34:19 aCg32XSW



321:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 22:35:46 aCg32XSW



322:好き好き大好き愛してる。(続き) ◇sUD0pkyYlo(代行)
08/07/31 22:45:26 2oogYdKK

……!
リリスに、『魔女の媚薬』を使われていた、という自覚が、あった?!
以前にグリーンが使ったらしいことは分かっていましたが、『その時と同じ』というだけで……!?
失策です。『魔女の媚薬』を飲ませる瞬間のことこそ、『眠り火』の暗示で『忘れろ』と命じはしましたが……こんな形でその存在に気付いてしまうとは。
考えてみればリリスは自らの『種族』について『サキュバス』と名乗っていました。
その時には適当に聞き流してしまいましたが、仮にそれが伝承通りの存在であるのならばそれこそ魅了と誘惑のエキスパートのはず。どうやら彼女は経験こそ浅いようですが……魅了・誘惑という一点においては、その種族的本能を発揮し真相を看破してもおかしくはない!
……しかし、それでも解せません。
その恋が偽りだと知ったなら、普通は感情を否定する形に向かうはず。それが自然な心理なのに……!

「でもね、ニセモノでも良かったの。
 リリスがこんな気持ちになったのは、初めてだったから。
 とっても、嬉しかったから」
「…………!?」
「この気持ち、教えてくれたのはグリーンだった。グリーンは、自分からキスをしてくれたんだ。
 そのことは、グリーンへの『気持ち』が……『お薬』が切れちゃっても、忘れない。
 だけど、ニアは……ニアは、キスもしてくれなかったから」

全く理屈の通ってないリリスの妄言。筋道も時系列もムチャクチャです。
けれども……私は、理解しました。いいえ、「理解できない」ということを理解してしまいました。

私には、彼女の『気持ち』とやらが、全く理解できません。

きっと、どれだけの言葉を重ねて愛を語られようと、私には納得できない種類のモノなのでしょう。
彼女が普通の人間心理から掛け離れた存在なのか、私が鈍感に過ぎるのか。あるいはその双方なのか。
口の中に血の味が広がります。きっともう私は助からない。
キラやジェダとの知恵比べに破れて命を落とすならともかく、こんなところで、こんなことでつまづくとは……無念でなりません。

「痛い思いさせてごめんね。すぐに、ラクにしてあげる。
 ニアのこと、大好きだから。リリスだけのものに、したいから」

一方的に勝手なことを言い放つと、リリスは刃と化したままの翼を振り上げ、動けぬ私を見下ろして。
私の首を、すっぱりと斬り落としました。
不思議と痛みは感じませんでした。
かつてギロチンで首を落とされそれでも意識が数秒続くことの証明のためにまばたきを続けた男がいたと聞きますが、しかしそれを思い出すのが精一杯で転がる私の頭は急速にその意識を闇に絡め取られ闇の奥底へと引きずりこまれ??

323:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 22:46:25 aCg32XSW



324:好き好き大好き愛してる。(続き) ◇sUD0pkyYlo(代行)
08/07/31 22:47:15 2oogYdKK

  ◇   ◇   ◇


好き好き大好き。愛してた。

胸に抱いた生首に そっと囁きかけてみても、そこにはもう感じられない。

貴方の息遣いも、貴方の体温も。貴方の命も、感じられない。

グリーンも。ニアも。

2人とも、本当に好きだった。

グリーンは、あたしに応えてくれた。ニアは、あたしに応えてくれなかった。

きっと、ただそれだけの違い。

それだけの違いで、あとはあたしが心のままに振舞って??こんなことに、なっちゃった。

哀しくて、苦しくて、胸が張り裂けそうで……でも、他にどうしたらいいか分からなくて。

でもね。好きだったヒトの首を斬りおとす。好きなヒトの首を斬りおとす……。

「そんなやり方」を教えてくれたのは、ニア、貴方なんだよ?

首を傾げて問うてみたけど、もちろん答えは返ってこない。

あたしは、あたしが愛した2人の死体を前に、呆然と、これからのことを考える。



ニアは、あたしのことが嫌いだ、って言っていた。

じゃあ??グリーンは、「素のグリーン」は、どうだったんだろう。

きっとグリーンは、あたしの……サキュバスの体液で、普通じゃなくなってたんだと思う。

その影響が消えるのとほぼ同時に、今度はニアが使ったあの『お薬』。きっとグリーンも使われてた。

だからあたしは、「ほんとうのグリーン」をほとんど知らない。

「ほんとうのグリーン」だったのは、最初のちょっとだけ。

ちょっと遊び半分に戦っただけ。ちょっと適当にからかってみただけ。

それも、あの時はグリーンは他の人たちを守ろうと動いていた。あたしだけを見ていたわけじゃなかった。

だから……分からない。

こんなあたしに、「ほんとうのグリーン」がどう声をかけてくれるのか、見当もつかない。



325:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 22:47:44 aCg32XSW



326:好き好き大好き愛してる。(続き) ◇sUD0pkyYlo(代行)
08/07/31 22:48:11 2oogYdKK

声が聞きたい。そう思った。

もう一度だけ、グリーンの声が聞きたい。

たとえそれで、「嫌い」ってはっきり言われても構わない。

むしろそう言って貰えたら、やっとスッキリできる。

むしろそう言って貰えたら、きっとあたしは、ようやくにしてあの「失恋」を受け止められる。

ともかく、もう一度。今度は、サキュバスの体液や媚薬や惚れ薬で「酔っ払って」いないグリーンと。

会って、話がしたい。そう思った。



そのためには??あたしはゆっくりと立ち上がる。

グリーンの魂は、ジェダ様が用意した「神体」の中だ。ジェダ様がその気にならないと、そこから解放されない。

逆に言えば。

ジェダ様がその気になれば、いつでも話くらいなら出来るってことでもある。

ジェダ様さえその気にすれば、簡単にあたしの望みが、叶う。そのためにも。


「……優勝、かな……」


あのままジェダ様の下で働いてれば、仕事のお駄賃代わりにお願いできたのかもしれないけれど……。

今のあたしは、他の参加者のみんなと一緒。

ジェダ様にお願いするには、もう、優勝してそのご褒美を頼みにするしかない。



ここから先は??「遊び」は抜き。しばらくは、我慢しなきゃ。

エヴァにメチャクチャにやられちゃったように、あたしは決して、強くない。

だから、真面目に、真剣に、必死に、頑張ろう。

もしもグリーンだったらどういう指示を出すか、私なりに考えて、私が自分で動いて戦うんだ。

身体で覚えた新しいコンボ、敵に使われた戦術、不意打ちに騙し討ち、必要ならば撤退も。

あたしにはもう、「遊んで」いる余裕は、ない。

だから、必要だったら、ぜんぶやる。



327:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 22:48:24 +jskVHoU
  

328:好き好き大好き愛してる。(続き) ◇sUD0pkyYlo(代行)
08/07/31 22:49:10 2oogYdKK

  ◇   ◇   ◇


……目の前には、あたしが愛した2人の屍。

申し訳ないけれど、ここから先は「遊ぶ」余裕はない。だから、使えそうな荷物は貰っていくことにした。

地図。名簿。コンパスや時計などの、支給品一式。一応、あんまりおいしくなさそうなご飯と水も。

『眠り火』とかいう、煙幕が8つ。使い道は……ちょっとよく考えよう。

『メタちゃん』って名前の、ぷにぷにと形を変えるモンスター。この子にはボールの中に戻ってもらった。

なんだかよく分からない、たぶんグリーンやニアを「好き」になった『お薬』のビン。

ぜんぶ黒いランドセルに詰めなおして、背中に背負った。

最初にジェダ様からランドセルを貰った時と同じ、新しい始まり??でも今度は「遊び」じゃないから。

ここから先は、生まれてはじめての、「本気」だから。



そのままその部屋を出て行こうとして、あたしはふと、視界の隅にキラリと光るモノに気付いた。

首輪。

あたしが翼でニアの首を斬りおとして、その弾みで外れて転がっていった首輪。

ふと思いついて拾い上げて、血を拭き取って綺麗にして、腕輪のように腕に嵌めてみる。

うん。オシャレだね。そして、とっても綺麗。

もう片方の腕にも、ニアが分析してたグリーンの首輪を嵌めてみる。

これはそう、言ってみれば……グリーンとニアの、生きた証。

優勝を目指す心が揺らがないよう、あたしを支える誓いの腕輪(リング)。


「じゃ……いってくるね。きっとまた、すぐに会えるから」


小さく別れを告げて、あたしは部屋の外に出る。

そのまま屋上に出て、翼を広げる。

頭上を見上げれば、そこには大きなお月様。

あたしはようやく、「ほんとうの戦い」を始めるために??

「あたしのバトルロワイヤル」を始めるために、月光差す夜空に飛び上がった。



329:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 22:49:10 aCg32XSW



330:好き好き大好き愛してる。(続き) ◇sUD0pkyYlo(代行)
08/07/31 22:50:05 2oogYdKK

【A-7/南部の研究所(B.A.B.E.L本部)屋上/1日目/真夜中】

【リリス@ヴァンパイアセイヴァー】
[状態]:右足と左腕にレーザー痕。顔に酷い腫れ。全身打撲。(以上全て応急手当済み)
     疲労(大)。微かな哀しみとすっきりと澄み渡った決意。
[装備]:首輪×2(グリーンとニアのもの。腕輪のように両腕に通している)
[道具]:基本支給品(ランドセルは男物)、眠り火×8@落第忍者乱太郎、魔女の媚薬@H×H、
    メタちゃん(メタモン)@ポケットモンスターSPECIAL、モンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL、
[思考]:ここからが……あたしの、本気だよ
第一行動方針:とりあえずB.A.B.E.L.本部を離れる。(その後は戦闘? それとも一時休息?)
基本行動方針:優勝して、グリーンの魂ともう一度語り合う。もう「遊び」に夢中になったりはしない。
[備考]:
荷物の中の『魔女の媚薬@H×H』には説明書がついていません。


【ニア@DETH NOTE 死亡】

[備考]
ニアとグリーンの遺体が、B.A.B.E.L.の中心であるモニターの部屋に並んで寝かされています。
どちらも首を斬りおとされ、胸や腹部に傷を追っています。首輪は残されていません。

同じ部屋の起動しっぱなしの端末の中には、ニアの『考察メモ』が残されています。
『考察メモ』には首輪の解析結果、ニアによる考察、リリスからの情報などが簡潔に纏められています。
具体的な詳しい解析は後続の書き手にお任せします。

ニアが持っていた『はりぼて首輪』は、解析の過程で分解され、原型を留めず消滅しています。



331:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 22:50:40 aCg32XSW



332: ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:51:16 +jskVHoU
……さるさん規制解けたかな?
支援および転載、改めて感謝です。
以上で、投下完了です。

というわけで、ニア死亡、リリスが再マーダー化です。
今後のリリスの行動(すぐに戦うのか、休息を選ぶのか)は後続にお任せします。

333:好き好き大好き愛してる。 ◆sUD0pkyYlo
08/07/31 22:52:54 +jskVHoU
っと、さっそく一行差し替え。
最後のニアの死亡表記を以下のように。

【ニア@DEATH NOTE 死亡】

何故Aが落ちたんだろう……我ながら謎です。

334:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 23:06:40 62nPYPyh
投下GJ!や……ヤンデレー!
なんという鬱だ……鬱過ぎる……素晴らしいぜ……!
しかし新居を手に入れてすぐ死ぬとは。まだ餅も投げていないってのに……。

リリスの本気も期待。だが、なんだか可哀想だ……。
凄く複雑な気分にさせてくれる展開だ、GJ!

335:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 23:42:26 Er921NPn
投下乙です
まさかのリリスヤンデレ化
再び本格的にマーダーとして動きだしたリリスに期待

そしてニア死亡…
まあこれは自業自得だな
メロがどういう反応をするか楽しみだ

336:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 23:50:57 aCg32XSW
投下乙です
ヤンデレヤンデレ。このあっさり感も女の子っぽくていいなあ
心の鈍さには定評のあるニアはまあ、仕方ないというか
これからのマーダーとしての活躍に期待

337:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/01 00:37:17 VInJ+asi
ニア、死んじまったかぁ、これは優勝ルートしかないか
そしてジョーカーのリリスがヤンデレとして復活か。さらに手ごわくなりそうだなあ

338:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/01 00:54:34 gGryv1Ui
投下乙!
ニアーーー!
結局最後の最後まで引き篭もりな上に
人の心を無視した挙句のこの末路・・・自業自得すぎる、が・・・なんとまあ。

あと代理投下の人の―が??に見えるんだが。

339:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/01 01:25:28 KFUVPG+z
投下乙!
ニアーーー!
あまりにも自業自得過ぎて可愛そうとか全く思わなかったんだぜ!

340: ◆sUD0pkyYlo
08/08/01 08:09:27 Dn+VCO94
>>338
文字化けなのか、転載の際に 「―」が「??」になっているようですね。
機種などの問題もあるので、仕方ないかと。
wiki収録時には、転載分はテスト投下スレにあるのを使った方がいいでしょう。

341:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/01 12:43:40 +Wu5GU/C
投下GJ。ニアにはそのうち天誅が下ると思ってたw
機械的かつ合理的な思考は好きだったけどね。
度々挿入されてたリリスの心情も臨場感があってよかった。

342:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/01 20:04:02 Bm6wGneE
投下乙です。
リリス切ないなあ……確かにグリーンのことはリリスにとっては初恋になるのか。
これはどう考えてもニアが悪い。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch