JCBRってサブカルだよなPart4.5at SUBCAL
JCBRってサブカルだよなPart4.5 - 暇つぶし2ch763:俺達にできること ◆SzP3LHozsw
07/05/29 18:31:26 c6kz0lR6
「ねーねー、これつけてると、夜なのに昼間みたいに見えるんだよ。凄くない?」
「いいな、それ。次俺に貸してくれよん」
「駄目。これは唯に支給されたんだよ。貸してあげないんだから」

俺の横で中坊が2人―じゃなかった、中坊の小僧と1コ上の女が、歓声を上げてはしゃいでいる。
名前はたしか菊丸英二と南戸唯。
2人が取り合ってるのは、唯に支給された『D-321-G Goggle』って名前のナイトビジョン。
これは一見すると双眼鏡のような形をしているもので、そいつをヘッドギアで頭に固定して使う。
結構な優れものらしく、簡単に言えばどんなに暗いところでも明るく鮮明に見せてくれるという、今みたいなときには大変便利な機械だ。
ま、偉そうに講釈してるが、全部説明書に書いてあったんだが。
しかしこれのお蔭で唯にはこの暗い森がよく見えるようで、唯が先頭を歩いている限り足元の危険はほとんどなかった。
俺達は石ころ1つにすらけっ躓かないで済んでいる。
なんで俺がこいつらと一緒に居るかっていうと、それはまあ成り行きみたいなもんだった。
たまたま偶然出会い、危険もなさそうなので、散々山の中で話し合った結果、こうしてなんとなく一緒に行動してるってわけだ。
正直、ただでさえ大変なときだってのに、これじゃ面倒を2つ抱えてるのとそう変わらず、俺はいささか困り果てていた。
なにしろ1人はとても年上には見えないほどに幼い外見をしていて、喋り方すら子供っぽい。
もう1人は見た目こそ普通だが、やっぱりこっちも独特の雰囲気を醸し出している。
2人とも悪い奴ではないかったが、さすがにガキのお守りは俺の手に余った。

「ちょっとくらい貸してくれたっていいじゃんか、ケチ」
「ケチでいーですよーだ!」

こんな調子だ。
まったくこいつらときたら緊張感ってもんないんだろうか。俺は些か疑問を持つ。
俺達はとんでもないことに巻き込まれてると思ってたんだが、こいつらを見てるとまるで夢でも見ていたような気にさえなった。
もちろん夢なんかじゃないからこそこいつらと一緒に居るのだが。
俺は変に気を張り詰めてる俺の方がどうかしてるのかと考えながら、前を行く2人を諭す。

「おいお前ら、ちっとは静かにしてろ。デカイ声ではしゃいでんじゃねーよ。いちゃつきたいんなら、よそ行ってやれ」
「別にいちゃついてなんかないもん! ……てゆーかもしかして、妬いてるんじゃないの?」

俺はよく日々野の馬鹿からムッツリスケベなんて不名誉なあだ名で呼ばれるが、唯に言われてそのことを思い出した。
もしかして本当に他人にはそんな風に見えているんだろうか? 少し心配になる。

「アホか。言ったろ、俺にロリコンの趣味はねーよ」
「だから唯は子供じゃないって言ってるでしょ!」

唯が頬を膨らませて怒る。
なんだかこっちまで調子を狂わされちまいそうだった。
これから日々野や春香先生やイブを捜さなきゃなんねーってのに、これじゃ先が思いやられるってもんだ。
いっそのことこいつら捨てて行こうかとも思った。それなら身軽になって探索ももっと楽になるはずだろう。

「なあ悪いけどよ―」
「言っとくけど、唯達を置いていくなんて駄目だからね。唯の裸見たんだから、そのぶんちゃんと返してもらいますよ」

俺がなにを言わんとしてたのか、どうやら唯はお見通しのようだった。
全部を言い切る前にすっかり釘をさされてしまった。
そりゃそうかもしれない。俺の態度にはあからさまに迷惑だという雰囲気が出てたことだろう。
唯がそれを嗅ぎつけたとて、不思議はなかった。
しかし―。


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