07/05/19 22:16:47 t6cMp1n9
高原池にてノート片手に立ち尽くす男、ジャガーは辺りを見渡しボソッと呟いた。
っていうか、ここでもまたジャガーは道に迷っていた。
「おーい! カワシマ~~! か~わ~し~ま~! 出てこーい!」
呼んでも出てくる気配はない、ジャガーはポツンと一人残されている。
前を向いても、後ろを向いても、横を向いても。誰も現れる気配はない。
「くそっ、けしからんヤツだな……カワシマめ、どれどれ早速この呪いのノートに書いてやる!!」
― 一分後。
「よし! これであいつも終わったな」
ジャガーは満足そうに微笑みながらノートを閉じ、今度こそ本当に平瀬村を目指し歩き出すのだった。
ちなみに、ノートは一度使用を試みると六時間の制限があるので、勿論これで川島が死ぬわけはなかった。
その上ジャガーがノートに書いた名詞は「カワシマ」というフルネームでもなければ漢字にすら変換されていない文字だったので、絶対これで川島が死ぬわけはなかった。
っていうか実はこのノートはジョバンニの複製バージョンなので、人を殺すという行為自体がそもそもできるわけなかったのだ。
とりあえず、ジャガーの行為は全て無駄の一言で片付くことになる。
「フ~、さっぱりさっぱり」
表面だけの爽快感に酔いしれるジャガーがその真実を知る気配は、今の所……全く、なかった。
そして、そんなはた迷惑な男にまで名前を知られてしまった男、川島はというと。