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◆創刊135周年を前に--主筆・朝比奈豊
◇現場の実感失わぬ紙面に
毎日新聞は2月に創刊135周年を迎えます。
日本の新聞で最も長い歴史には数々の誇るべき報道とともに反省もあります。
その一つは、言論や思想、報道の自由が統制されていく昭和初期、
相次いだテロ事件をもっと重く受け止めて徹底批判し、国民に真実を伝えるべきだったという点です。
1932(昭和7)年の5・15事件は犬養毅首相が殺され、
政党政治が事実上息の根を止められた忌まわしいテロでした。
昨秋、岡山の犬養木堂記念館を訪れ、血痕が染みついた座布団に胸を突かれました。
首相官邸に土足で入ってきた青年将校たちは、「まあ靴でも脱いで座れ
、話せば分かる」という首相を「問答無用」と射殺したのです。
血のにおいがするような座布団を前に「問答無用」の恐ろしさを感じました。
ここ数年、加藤紘一衆院議員の実家の放火をはじめ、
脅しを含め言論テロと呼ぶべき事件が続いています。
「問答」とは対話であり、議論、言論です。それを「無用」と言わせないことが新聞の重要な使命です。
一方、インターネットは画期的な新技術であり、「ウェブ2・0」と呼ばれる新段階に達し、
社会に大きな利便性をもたらしています。しかし、委員会の議論のように、
巨大な影響力ゆえの問題点も指摘されています。
匿名で責任を取らず、人を傷つけるネット上の攻撃は巧みになっている気がします。
それは形を変えた「問答無用」の世界です。
ネット社会のあり方を分析し、読者とともに議論し、ネットを利用する人たちにも投げかけて、
コンセンサスを探っていくことも新聞の役割でしょう。
高度な情報化社会は現実感の薄い情報が飛び交う世の中です。
しかし、目の前の犬養毅の座布団には年月を超えた迫真性がありました。
そういう現場の実感を見失わず、今年も新聞をつくっていきたいと思います。