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週刊ポスト 2006年10月13日号 昼寝するお化け 曽野 綾子
357 「後頭の秘密のスイッチ」
URLリンク(skygarden.shogakukan.co.jp)
日本のカメラマンが撮った写真から、愛子さまの笑顔やお手振りの光景がなく
なった、という記事があった。
たまたまお相撲の観戦をなさっている時や、オランダの王室の方々との触れ合
いの中では、楽しそうな表情もあったから、全くお笑いにならないわけではない
だろう。
しかし秋篠宮ご夫妻にお生まれになった親王さまをお見舞いにいらした病院の
入り口では、カメラの視線を感じると皇太子殿下の陰に堅い表情で隠れるお姿が、
テレビカメラにはっきりと捉えられていた。
ほっておいて差し上げるのが一番いいのだ、と私も思う。日本中の誰一人とし
て、二十四時間、一部始終を見張られている生活など体験したことがない。だか
ら皇室の方々の心理的圧迫など、誰も理解することができない。タレントさんな
どはそれに近いのだろうが、それでもサングラスをかけてお忍びで出る機会もあ
るらしく、明け方にマンションの一室から出て来る写真を撮られたりする。しか
し皇宮警察が警備をしているご生活には、陰の部分など作りようがない。
愛子さまがオランダでは楽しそうな笑顔を見せられたということは、日本のマ
スコミには敵意を感じていらっしゃるということだ。その心理の背景を私は充分
推測できるような気がするが、学者でも医師でもない私が憶測でものを言うのは
いけないことだから、今ここではしない。しかし子供が外へでれば必ずカメラの
放列に遭い、それから逃れられず、それが心理の圧迫となって続くとしたら、そ
れは重大なことだ。このまま放置すれば、心に傷を残しかねない。
しかし日本のマスコミに対して公的おでかけまで写してはいけない、と要求す
るわけにもいかない。皇室とはいわば人目にさらされることから逃れられない運
命と任務の元におられるご一家のことなのだから、けなげにその任務を受諾して
いただきたい、と、国民の一人として私は願うのである。