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<東京カフェ>『痛みは消えたが』 2007年8月14日
「あーら、きれいねえー」。花や景色を愛(め)でているわけではない。
先月下旬、急な腹痛を覚え、生まれて初めて、都内の有名病院で、胃の内視鏡検査を受けた。担当の女性医師はモニターを見ながら、軽い口調で言った。
私の方は、看護師らに横向きに体を押さえられ、口に入ったカメラと管の異物感で、涙とよだれが止まらない。鏡に映ったみじめな姿は、まるで捕らえられたフセイン元イラク大統領のようだった。
「あ、ありがとうございます…」。消え入りそうな声で礼を述べ、部屋を出たが、数多くいる検査対象の一人として、軽く扱われたような気がしてならなかった。
ごく一般的な医療行為にもかかわらず、内視鏡検査をめぐるトラブルは、全国各地で後を絶たない。私自身、数年前、検査機器の操作ミスの疑いで、高齢の女性が死亡した事故を取材した経験がある。そんな事故の背景に、医師らの惰性がなかっただろうか。
腹痛は引いたが、胸の奥に、何かつかえたような思いが残っている。
(北川成史)