07/06/29 05:29:12 FNDt6g800
むかしむかし。
きいの国に八木のおとどという長者がいました。
この人はたいそう力のあるおかたで、お方さまはくぼうさまのご家門のあいづの殿様のお身内のお方でした。
おとどとお方さまはたいそうなかがよろしく、ふたりのあいだにはお姫さまと若さまがうまれ、しあわせにくらしていました。
そんなあるとき、都のお上のおつかいがみこのおきさきをさがして、きいの国までやってきました。
お姫さまのうつくしさに目をとめたおつかいは、おとどにたのみました。
「なにとぞ、おひめさまをみこのおきさきに」
みこのおきさきになるとあっては、いやのあろうはずもありません。
おとどはわかりましたとおうけいたし、せいだいなうたげをひらいてお姫さまをおくりだしました。
お姫さまはたいそううつくしいだけでなく心ばえもよいかたでしたので、都へのぼるあいだにもそれはそれはひょうばんです。
道にはお姫さまを一目見ようと、たくさんの人があつまりました。
神さま仏さまも、くもの上からごらんになりました。
もなたちも、木のかげからみています。
都にはいると、おひめさまのおやしきのまわりには人だかりができました。
お上のけらいや、みこたちも、おしのびでやってきました。
お姫さまはそういう人たちにていねいにごあいさつをして、おもてなししてかえしたので、ますますひょうばんになりました。