07/10/14 18:49:40 0
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[短編小説ごっこ]
vol.2「真っ直ぐな殺人犯」
M田とK野とS藤は、夏が終わりを告げる頃、秋の夜風と共に消えた。
忘れもしない九月の夜。仲間の一人が半殺しにされた。それも喉、急所、背中、足をメッタ刺しに。
暴走族に対する知識の無さや、先輩達への甘えが、そんな結果を招いたのだろう。
彼等は怯えていた。相手の勢い、先輩からのヤキ、全てに対し怯えていた。
結果が出せない彼等に与えられた、数え切れないヤキ、罵倒。そして自分達の看板の重みが、いつの日か彼等を変えた。
変わり果てた姿と瞳。それは正に特攻隊の様だった。「俺の仲間をあんな目に遭わせやがって」「俺達は死んでも負けねぇ」彼等のそんな心の葛藤がありありと目に浮かぶ。
少数精鋭の度重なる襲撃、OBはOBを叩くという圧力作戦。たった七人で五〇人に挑む彼等の心境とは、どんなものなのだろう。
彼等の勢いは抗争のペースを完全に自分達のものに変えた。途中一人が入院し、二人の者が恐喝と窃盗で逮捕され四人になっても、その勢いは止む事を知らなかった。