05/01/20 23:24:31
566より続く
そして、続けてこうも言ったのだ。
「桜はとっくに散っちゃったけど。最近?ああ、うん、元気に頑張ってるよ
元気にやってるけど、ちょっと疲れちゃってるかな。
でも、疲れているのは毎度のことだからさ。
うん、大丈夫だよ。またどこかで会おうよ。うん、元気で」
そう言って尾崎は少しはにかんだ笑顔を浮かべ軽く右手を挙げながら、ふわりふわりと
宙を歩くような足取りで歩き出した。
その場に取り残されたぼくらは、幻影を見ているような感じで尾崎の後ろ姿を目で追うしかなかった。
それからたぶん、五時間後か六時間後、尾崎は今や尾崎ハウスと呼ばれている民家の庭先で静かに
眠るように逝ったのだ。