06/11/26 10:14:56
その学校の本校舎2階のトイレの奥には、いつのころからか悪霊が棲みついていると言われていた。
ドアの前で3回まわり、「花子さん遊びましょ」というと出るという。
そして動けなかった生徒は血まみれになって倒されるとも。
花子さんは勇躍していた。貨物船のトイレに転がり込んで移民して1年、ようやく本格的に暴れられるのだ。
噂は十分に流した。あとは獲物がかかるのを待つだけだ。
飢えた狼のように―実際彼女は飢えていた―彼女は凄みのある笑みを浮かべた。
「ハーナコサーン、アソビマショー」
ようやく獲物が来たようだ。彼女は大きく息を吸い込んだ。
「はーあー…いっ!?」
パイナップルのようなものがドアを開ける瞬間上から放り込まれ、瞬時にトイレの中が煙で覆われた。
同時にドアが蹴破られ、無数の銃弾が花子さんを串刺しにする。
「ヘイ、ロイ、最初に当てたのは俺だぜ。10ドルよこせよ」
「待てよ。頭に当てた俺のほうが早かった」
「なんだと、やるか黒人野郎」
倒れこむ彼女を尻目に「生徒」たちはわいわいと騒いでいた。
その後もひどいものだった。彼女は呼ばれて出てきたところをナイフで切られたり
トイレの中にいる間に狙撃されたりした。
挙句の果てに、目の前で狂ったデブが教官を射殺して自殺してしまい、彼女は大きな心の傷を負った。
わずか半年で彼女は学校を去った。こんな狂気に満ちた学校から離れて新天地を目指すのだ。
彼女がもぐりこんだトイレがある輸送船は、一路ベトナムのサイゴンに向かっていた…