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178 名前:[名無し]さん(bin+cue).rar[] 投稿日:2005/12/15(木) 23:35:52 ID:pZ5BOKqS0
『よし、じゃあ、行くか』
部屋を出るときあたしが『チューは?』とおねだり。
『あああ、ごめんごめん、そうやった』とトオルは心のこもったキスをしてくれた。
少しだけ口紅が移った。
ホテルからタクシーに乗り、一番の目的である『ジョン・レノン・ミュージアム』へと向かう。
外は雨が降っていた。
あ、しまった。ホテルの部屋に傘を忘れてきてしまった。
まぁ、いいか。今更引き返したら遅くなるし。
忘れたといったら彼は取りに戻ろうというかもしれないし。
それがこのあとの行動に大きく影響するとは思いもしないで。
初めて行ったジョンレノン・ミュージアム。
トオルは入る前にコドモみたいに興奮していた。
彼のこういうところが好き。オトナぶらない純粋なところ。
ジョンのことは知り尽くしてるはずなのに、そんな素振りは全然なくて。
中では撮影一切禁止だったのが残念だった。
トオルは最初の7分間のビデオでうるうるしてしまったらしい(笑)
ジョンの一生を綴ったフィルムだった。
大きなパネル写真にキャプションがついていて、
ショーケースに遺品などが飾られていた。
『僕がグラフィックデザイナーだった頃は、こういう仕事をしてたんや
写真をどこに貼って、文字はどういうのを使って、ケースはどういうのをおいてとか』
あたしは特別企画の真っ白い部屋で涙が出てしまった。
真っ白い壁の部屋。透明な椅子が2列に壁に沿ってたくさん並べられてある。
真中にはジョンとヨーコの言葉がちりばめられて、
大きな窓のブラインドの隙間から薄く光が差していた。
あたしは息を呑んだ。圧倒された。
グ、グ、グ、グラフィックデザイナー?