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(>>1の続き)
ファラージ党首のざっくばらんな語り口は有権者の心に入り込んだ。しかし、忘れてはならないのは、ファラージ党首がコメディアンの
ような外見と語り口で撒き散らす言葉の数々である。
「EU28加盟国の中で、すべての犯罪の7%は240人のルーマニア人ギャングによって起こされている。彼らがドーバー海峡を渡って
くるのを防げば、何も心配する必要はないのだ」
「EUの息の根を止めたい。しかし、民主的に、だ。もし、民主的な方法で終わらせることができなければ、EUは非常に不幸な形で
終わりを迎えることを懸念する」
「まず英国を自由にしよう。そして、他のEU諸国に例を見せるのだ。人々に解放軍への参加を呼びかけよう。私たちを今の混乱に
陥れたエリートたちを駆逐するために」
これはデマゴーグ以外の何物でもない。ファラージ党首は移民規制を呼びかけるさまざまな数字を列挙するが、事実とはかけ離れて
おり、扇動のための道具として使っている。
UKIPは、EUが英国民の税金を無駄遣いしていると糾弾するが、その税金を最も不透明に使っているのがファラージ党首である。
もともと欧州議会議員の給与や経費は高額だ。(2009年、英紙ガーディアンの報道)
・基本給は最高で年8万3282ポンド(約1430万円)
・一時退職金は4万1573ポンド
・議員経費は年36万3000ポンド
しかも、経費を使っても領収書を議会事務局に提出する必要はない。
ファラージ党首はこうした特典を利用して、妻をスタッフに雇い、給与として年2万ポンド支給。スタッフの経費は22万ポンドもある。
さらにスタッフを愛人にしていた疑惑まで欧州議会で指摘された。
事務所経費をめぐる疑惑も報道された。
ファラージ党首とUKIPの欧州議会議員は合計で年80万ポンド近い経費をEUから受け取っている。英国をEUから離脱させ、EUを解体に
追い込むために。
UKIPの台頭は、西洋の民主主義が大きな曲がり角を迎えていることを意味しているのか。
(終わり)
●木村 正人氏 在英国際ジャーナリスト
ロンドンを拠点に活動する国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。日本国憲法の改正問題(元慶応大学法科大学院非常勤
講師=憲法)や日英両国の政治問題、国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部で大阪府警・司法キャップを
務めるなど大阪で16年間、事件記者を務め、東京で政治部や外信部を経験。2002~2003年、米コロンビア大学東アジア研究所客員
研究員。2012年7月、独立してフリーに。