16/02/19 16:24:34.45 CAP_USER*.net
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昨年暮れ、埼玉で開催された某パーティーで、みんなの党の初代代表を務めた渡辺喜美元衆院議員と久しぶりに会った。その渡辺さんが挨拶に立ったとき、私たちの仲を知る司会者がちゃめっ気を出して、「同じ名字ということで、渡辺喜太郎さんもステージにどうぞ」と私を壇上に促した。
私が躊躇(ちゅうちょ)していたら、喜美氏は「同じ渡辺で、同じ潰れた同士、仲よくしましょう」と軽口をたたいた。「潰れた同士」といっても、私の場合は民事再生法の手続きを踏んだ民間企業だが、向こうは天下の公党をぶっ潰している。大きな違いだと思うのだが。
喜美氏の父親は、ミッチーの愛称で知られる渡辺美智雄さん。副総理や蔵相(現財務相)などを歴任した大物政治家で、かつて麻布自動車グループ傘下だった栃木・喜連川カントリー倶楽部の名誉理事になっていただいた。
一方、喜美氏は1995年の美智雄氏の死去後、地盤を継承して自民党から出馬。規制改革担当の特命大臣などを経て、みんなの党を結成したものの、一昨年、8億円借入問題で、同党は解党する。その後、本人も落選した。
美智雄氏はよく喜連川カントリーにいらして、一緒に食事をした。ブランデーのお湯割が好きだった。喜美氏も、美智雄氏の後援会の青年部を組織し、喜連川カントリーでゴルフ会を開催していた。会員権も所持していた。
先の埼玉のパーティーで、喜美氏は「私の会員権もパー」なんて皮肉を言ったから、こっちも「盆暮れにン千万円持っていったよね」と返してやった。「そんなことより、これからどうするの」と聞いた。
喜美氏には、公務員改革を本当にするのでは、と大きな期待をしていた。しかし、この有り様。美智雄氏が「あいつは理屈が多いから」と嘆いていたことを思い出した。
父親が政治家、息子も政治家というと、みんな、「名門」とか「サラブレッド」とはやし立てる。国民の税金で食っている人間がなぜ「サラブレッド」なのか。
考えてみると、現在の世襲議員で、オヤジさん以上によくやっているのは安倍晋三首相ぐらいなもの。私はそのオヤジさんで外相などを歴任した安倍晋太郎氏とも深くつき合った。
こちらは「超」がつくほど人が好くて、頼まれたら嫌だとは言わなかった。私が友人から、「結婚式に安倍さんを呼んでくれないか」と頼まれたとき、よほどのことがない限り、引き受けてくれた。
元々は自民党の中山正暉氏から、保守派政策集団「青嵐会」の仲間の美智雄氏や森喜朗元首相を紹介してもらい、森氏の縁で晋太郎氏とも知り合った。晋太郎氏は紳士で、美智雄氏は泥臭かった。どちらにしろ、いまの議員は小粒になったね。
■渡辺喜太郎(わたなべ・きたろう) 麻布自動車会長。1934年、東京・深川生まれ。22歳で自動車販売会社を設立。不動産業にも進出し、港区に165カ所の土地や建物、ハワイに6つの高級ホテルなど所有し、資産55億ドルで「世界6位」の大富豪に。しかし、バブル崩壊で資産を処分、債務整理を終えた。現在は講演活動などを行っている。著書に『人との出会いがカネを生む/ワルの交遊術50』(仁パブリッシング)。