14/12/01 09:38:27.74 0
ソース(北海道新聞・社説) URLリンク(www.hokkaido-np.co.jp)
国民が求めているのは安心して暮らせる社会だ。そのためには少子高齢化で行き詰まりつつある社会保障を早期に立て直さなければ
ならない。
安倍晋三首相は消費税率10%先送りをめぐり、国民の信を問うとして衆院を解散した。
しかし選挙を前に、消費増税と表裏一体だったはずの社会保障改革についての発言が各党からあまり聞こえてこない。
団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年以降、社会保障費膨張による財政圧迫が指摘されている。
改革は待ったなしである。
政治は社会保障問題に正面から向き合い、将来ビジョンを訴えるべきだ。それが有権者にとって有力な選択肢になる。
■「少子高齢化」が加速
少子化と世界でも例がない超高齢社会―。わが国の社会保障制度が今ほど問われている時はない。
国民の4人に1人が65歳以上だ。介護や医療を中心に費用の増加が続き、国の社会保障費を毎年1兆円規模で押し上げている。
さらに「2025年問題」が追い打ちをかける。給付は増える一方なのに、少子化で制度を支える働き手が先細りだ。給付と負担の
バランスが取れなければ、持続性のある制度とは呼べない。
政府も働き手を増やして少子化に歯止めをかけるため、待機児童解消や子育て環境充実を目指す新支援策を来春から実施する。
しかし効果が出るには時間がかかる。
この費用もまた社会保障費だ。国の借金が1千兆円を超える中、財政はますます逼迫(ひっぱく)する。
こうした現実を前に、自民、公明、民主の3党は一昨年6月、消費増税を柱にした社会保障と税の一体改革について合意した。
合意直後、共同通信社の全国世論調査では、消費増税についての賛成が45%を占めた。
増税は誰だって受け入れたくない。少なからぬ国民が理解を示したのは、将来の安心のために「やむなし」と考えたからだろう。
しかし、政府の肝いりでできた社会保障制度改革国民会議は昨夏「確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋」と題した報告書
をまとめはしたが、その後の具体的な動きは鈍い。
今回の「消費税10%」先送りは過半の支持を得た。
円安による物価上昇で実質賃金が目減りしている。しかも無策で将来に安心が見いだせない。だから増税に反発する。政治はそれを
忘れてはならない。
■持続可能な仕組みに
持続可能な制度の基礎を固めることが喫緊の課題だ。25年まで残された時間は長くない。
しかも社会保障の裾野は広い。それだけに重要なのは将来を見据えた明確なビジョンと、そこに至る具体的な道筋だ。それを描くのが
政治の役割である。
自民党は社会保障の基本理念に「自助、共助、公助」を据える。
だが、経済が右肩上がりの時代は今は昔だ。不安定で収入も少ない非正規労働者が全体の4割に迫り「共助」を支えてきた企業も
余裕を失った。その分、過度に「自助」に傾斜してしまっている。
一方、民主党は無年金者や低年金者を対象に行うという最低保障年金などを求めている。「公助」を手厚くする主張だが、財源の確保
が難しく説得力がない。
確かに現状は主張に隔たりが大きい。だが、そこを乗り越えなければ将来への方向性は出まい。 (>>2以降に続く)