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アベノミクスへの逆提案‐ふつうのバランスのとれた経済政策
URLリンク(blog.shuheikishimoto.jp)
和歌山1区衆議院議員岸本周平公式サイト 2014年11月20日16:46
これまで、アベノミクスを批判してきましたが、それではどのような経済政
策が望ましいと考えているのか申し述べたいと思います。
経済活動を行うのは企業や個人の民間経済主体です。個々に生産性を上げて、
経済のイノベーションを図ることが重要です。つまり潜在成長率を上げるこ
とを目標にすべきです。
このことに関して、アベノミクスの第1の矢の金融緩和や第2の矢の財政のバ
ラマキでは対応できません。
どちらも第3の矢の成長戦略のための時間稼ぎに過ぎません。
しかし、「中央銀行による超金融緩和策」は、政治家がその「痛み止め効果」
に甘えてしまうと、結果として構造改革が遅れ、「時間の浪費」となるとの
指摘があります(加藤出レポート2014年11月14日号)。
日銀がほぼ全額の国債購入で政府の財政ファイナンスをする結果、今の安倍
内閣が陥っている状況そのものです。
規制緩和などの構造改革を先送り、増税を先送り、追加財政をバラマキ、完
全に財政規律が失われてしまいました。
アベノミクスの売りであった「円安」の結果、「円安対策」の補正予算で景
気回復?
これほどの失政はありません。それでも、日銀が国債を買ってくれますから、
経済対策が可能になります。
(税収増で対応するから大丈夫と言われても、本来そのお金は借金を返すた
めのものですから、同じことです。)
補正予算を組めば、おそらく、2015年度のプライマリーバランス赤字半減は
難しくなるでしょう。
結局、子どもや孫へのつけ回しを増やすだけです。世代間会計の発案者コト
リコフ教授は、このような状況を「財政的幼児虐待」と名付けました。
一方で、潜在成長率を高めるためには、労働力、資本の投入を増やし、生産
性(TFP)を上げるしか方法はありません。
人口減少の結果、労働力人口も毎年1%近いマイナスが続いています。
民間の純資本ストック(投資マイナス減価償却)は2009年以降マイナスとな
っています。
原因は、国富の増加分である「国民純貯蓄」が、社会保障費でふくらんだ政
府部門の赤字のためにゼロになっているからです。
日本は、国富を減らし、投資もマイナスの国になってしまいました。
労働人口をすぐに増やすことはできませんから、処方箋は、
①社会保障を合理化して、政府の赤字を減らすことと、
②生産性を上げること、
しかありません。
経済政策にマジックはありません。一か八かの冒険主義はリスクが高すぎます。
安倍内閣以前の自民党と民主党の政府が異次元の第1の矢と第2の矢政策を取
らなかったのはそのためなのです。痛み止めから逃れられなくなるのを、でき
る限り回避してきました。
社会保障制度の改革は痛みを伴います。しかし、待ったなしです。消費税で
手当てするはずの社会保障費用を借金で賄うというのは論外です。
ひとりひとりの生産性、人間力を高めるためには、アベノミクスが広げた貧
富の格差を小さくし、教育と職業訓練に力を入れるほかありません。
もちろん、規制を緩和し、市場を自由化することも着実に行わねばなりません。
地味ですが、当たり前の政策をコツコツと、倦まず弛まず続けることです。
潜在成長率を上げるための魔法の杖はありません。
ひとりひとりの命がキラキラ輝くことのたいせつさに気づき、ひとりひとり
の人間力を高めることに予算を使いたい。
今こそ、ふつうの、バランスのとれた政治が求められています。