☆  札幌市東区【その35丁目】 ☆at HOKKAIDOU
☆  札幌市東区【その35丁目】 ☆ - 暇つぶし2ch259:なまら名無し
10/04/29 13:53:03 p9gEoADg
最初は普通にチャリを漕いで行けたんだけど段々と勾配がきつくなり、途中からはチャリを押してトボトボと歩くことに。
だけども二人とも「途中で帰る」とは言い出さない。一度「支笏湖へ行く」と決めた以上、どんなことをしてもそこに行くのだ。
この日は一日中晴天で、チャリを押している間も初めて見る景色にむしろワクワクドキドキすらしていた。
そしてFと一緒にこの景色を二度と見ることがないということも分かっていたから。

ふと耳を澄ますと、傍の急斜面を滝のように水が流れているではないか。「飲み水」とも何も書かれていないんだけど、
俺とFは迷わず水を飲むことにした。流れ落ちる水にうまいこと頭を突っ込んで、横向きに我を忘れてガブガブと。
このとき飲んだ水の旨さは今でも忘れられない。この世にこんなに旨い飲み物があるのか!とただただ感激した。
予期せぬ水分補給を経て俄然ファイトが沸いてきた二人は、さらに南を目指す。

そしてついに峠を越え、あとは支笏湖まで下るだけ!!みんなも経験があると思うけど、ガキって下りの怖さを知らないのなw
俺らはほぼノーブレーキで、「イャッホオオオウ!!!(AA略)」と自動車と競走する勢いで車道を下った。
下りはほんっと一瞬だったな。あっと言う間に支笏湖の湖畔に到着。「イエーイ」とタッチを交わすバカ二名。
本当は支笏湖の景色を十分に堪能したかったのだが、この時点で陽はすでに西に傾きかけていた。
おまけに湖畔の食堂から漂う匂いが空腹を刺激するもんだから、長居は無用と俺らはすぐに引き返すことにした。
Fと一緒に支笏湖まで行ったという、恐らくクラスの誰にも破られないであろう記録があればそれで十分だったのだ。

さて、帰りは支笏湖~恵庭岳間のみ登り勾配となるが、それさえ過ぎれば後は家までほぼ下りとなる。
帰りの方が楽であるということは経験上分かっていた。しかし、行きの途中で飲んだ水は素通りしたくない。
というわけで、帰りは峠を越えてもゆっくり下ることにした。ところがだ、二人して注意深く下ってきたつもりなんだが、
あの滝のように流れ落ちる水はとうとう発見することができなかった。腑に落ちないがなんせ時間が迫っている。
とにかく大急ぎで帰る。陽が完全に沈みかけた頃ようやく真駒内に達し、そこから豊平川サイクリングロードを全力疾走。
家についたのは20:00頃だったろうか。いやー、おかんが怒る怒るw
だけどもFと一緒に支笏湖まで行ってきた、と説明をしたら親父はむしろ「よくやった!」と褒めてくれたなw

そんなバカなことがあった夏休み、いよいよFの家の引越しの日取りが決まった。
俺らはその前にFの家に集まり、お別れ会を開くことにした。みんなのお小遣いを合わせ、Fのプレゼントを買って。
当然というか、その会の中で支笏湖往復の話が出るわけ。他のクラスメートは一様に驚いていたが、Fの母さん曰く、
「あの日は帰りが遅くて心配してたんだけど、聞けば自転車で支笏湖まで行ったって言うじゃない。
 Fったら、『札幌離れる前に最高の冒険ができた!』って凄い喜んでいたのよ。ありがとう。」とのこと。
そこまで言われたらこっちも本望。もはや何も思い残すことはない。
こうしてFは二度とできないであろう貴重な体験を胸に東区を、北海道を去った。


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