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日経エレクトロニクス2005年6月20日号より抜粋
この構成は、コンピュータアーキテクチャの常識から見れば明らかに奇異だった。APU(SPU)に
キャッシュではなく専用メモリを組み込むという選択は通常はあり得ない。格納するデータ
をハードウェアが管理するキャッシュならば、プログラマがその存在を意識する必要がない
のに対し、専用メモリではデータをソフトウェアで明示的に管理しなければならないからだ。
(中略)
「なんでこのご時世にメモリ空間を制限する必要があるんだ?」
Cellの開発チームの中でも、専用メモリを採用することに疑問を呈する意見は根強かった。
そんな声を封じ込めたのは、熱烈なゲーム愛好家であるSCEの○崎剛だった。
「ゲームはリアルタイムで反応することが命。キャッシュはそれを妨げる。」
(中略)
ゲーム好きを持って任ずる自らの信念から、○崎は専用メモリにすることの重要性を、米IBM
と東芝の技術者たちに繰り返し説いた。キャッシュの採用を推していた技術者たちは、
最後は○崎のこだわりに根負けする形で、専用メモリの採用を了承せざるを得なかった。