07/08/24 13:40:55 PRAD5tCEO
深夜、眠れないので、山際の農道をドライブした。
林檎畑や桃畑、今は実のなっていないサクランボ畑が農道沿いに広がっていて、くねくね道が続いている。
道は登ったり、下ったり、右に曲がり、左に曲がる。
信号も無いので、音楽をかけ、リラックスして、生暖かい風に吹かれながら、20分もドライブして、家に帰ればぐっすり眠れる。
助手席の窓からはうねる山並みの稜線がはっきりと確認できて、少し欠けた月が俺を見下ろしている。
THURSDAYのA HOLE IN THE WORLDが流れている中、車を走らせていると、凡そ30メートル先の左手がぼんやり青く光っていた。
この農道のドライブコースには、電灯は愚か電柱は一切ない。
青く霞がかって光る位置まで来て、車を停めて、降りると、果物の直売所が…。
70過ぎと思われる泥塗れの農作業着に薄汚れた帽子の老人が一人いて、
「もも、食わねえか?」
と言ってきて、小腹も空いたので、買うことにした。
「桃、一つ下さい。」
と、もも百円と書かれていたので、小銭入れから百円を出して、差し出した。
「ねえよ。バカ。消えろ。カス。」
老人は子供じみた声で、単調にそう言うと、その場から動かない。
なんだ?このじいさんは?
俺はカチンと来たので、帰る事にした。青白く発光しやがって!
「おい、ちょっと待て!、兄ちゃん!林檎あるから、けぇ(食え)」
渋々、従って、老人の前まで行くと、真っ赤な大きい林檎を一つ、ただでもらった。
車に戻り、大きな林檎を頬張った。季節はずれの林檎をかじりながら、ドライブを楽しんだ。
人生とは何かとよく考え、悩む事がある。
深夜の3時頃の事だった。
老人の下半身は、店の売り物台に、隠れていて見えなかった。