07/07/27 15:51:32 d7BbrcsSO
｢ダークツイスト｣
車に乗る前に、空を一面に覆い尽くしていた雲の動きが、妙である事に気づいた。
風は南から北へ、つまりは自身本位では右から左へ流れているのに対し、雲は北から南へ流れている。
風が妙に強く吹いているなと感じて、車に乗り込んだ。
車を走らせていると､視界に小学校の校舎が目に入ってきた。
高台に位置する学校の校庭には、黒い人だかりができていて、何かをしている。
あれは、何をやってんだ？
ウィンカーを右に出し、道を折れる。その道はずっと、小学校まで続いていて､小学校の手前まで車を走らせる。
校庭脇に車を停めると､テレビ局の取材車というか機材を積んだロケ車が数台停まっていて、カメラやケーブルが蛇のようにうねりながら、自分の位置より１メートル位低い､段差のあるグランドに延びている｡
グランドの中央には、テレビでよく見る若手芸人や既に中堅的な芸人が体育着姿で、輪ゴムをどこまで飛ばせるかという競技をしている。
バラエティー番組か特番のロケのようだ。
それにしても、実にくだらない競い事だ。まあ、それが面白いのだろうが。
黒い人だかりは、近所に住む人達がロケを見に来ているギャラリーだとわかった。
特に芸人に興味は無かったが､一緒に来ていた某局の女子アナウンサーに興味を惹かれて、俺もそのギャラリーの中に入った。
〇〇アナ､可愛い(*^ω^*)
と思いながら見ていると､雨がパラパラと降り始めた。
雲はうねりを見せているが､途切れた隙間から、陽光が差し込んできている。
雨なのか晴れなのか曇りなのか､変な天気だ。そんな中、ギャラリーがどよめいた。
高台から見下ろせる町が黒くなっていき、真っ黒な大きな雲が渦を巻き始めた。
所々で小さなつむじ風が幾つも起こり、それらが合流し始め、細い竜巻を二つ作り出した。
続く…