07/08/02 22:36:42 J6aGgWMJO
上司の元に帰ると、相方の小言も程ほどに、直ぐに仕事に取りかかった。
まだ各所は混乱状態にあり、やるべき仕事ははいくらでもあった。
ただ世の中が日に日に平和になっていくことは実感できたので、さほど苦痛にも思わなかった。
やがて色々な事が一段落し、生活にも余裕ができるようになると
俺は暇を見計らって、昔の偉い人がいた城の跡に出かけた。
用があった訳ではないが、なぜだか行かなければならないような気がしてならなかった。
あの馬鹿でかい城は、無謀事件があってすぐに
その手のものによって燃やされ
今は壊れかけた城壁と石垣、そして例の階段を残すのみだった。
俺は昔と同じようにひいひい言いながら、
やっとの事で階段を上りきり丁度良さそうな所に腰掛けた。
妙に見晴らしがよくなってしまったそこからは
城下の様子がとてもよく見る事ができる。
一時に比べると大分廃れてしまったものの
ぎっしり建った家の間を沢山の人が行き交っているのがわかった。
そしてその奥には青々とした田畑がどこまでも広がっていて
今までの事が嘘のように平和で、昔と変わらないな風景だった。