前世の記憶がある人集合その2at OCCULT
前世の記憶がある人集合その2 - 暇つぶし2ch239:99 197
07/06/21 01:38:47 xuPWJU4qO
>>238
「お前が、色目使ってどうする。オリンを呼んでこい。この若い彫文師も娘に会いにきたんだ。」
店主の言葉に、はいはい。と頷くように、女性は店の奥に入っていく。その時、一瞬だけ店の外に視線を這わせたような気がした。
少しして、奥から背の高いすらっとした細身の若い美女が出て来た。
年の頃は16、7といった所か。俺より拳大二つ、三つぶんくらい低いが、背の高い女の子だ。
「自慢の娘でしてね。こいつが、店番をしてくれるようになって、商売繁盛ですよ。」
店主は照れくさそうに笑う。
本当だ。美しい人だ。絶世の美女とは、その通りだった。この国でみても美しさは群を抜いている。
小麦色の肌と人を魅了する黒い目。
お互いに目が合って、体が動かない。
「ほら、挨拶しなさい!」彼女はじいっとこちらを見つめて、俺は内心、焦ってしまい、早く店を出たい衝動に駆られる。
「…あなたを知ってる。」彼女の言葉に動揺してしまい袋から、工具を適当に一本取り出し、店主の前に置くと、
ちょっと、急いでるんでっと言い残して、店を出ようとする。
「知り合いか?」
店主が娘を見て、逃げ出すように店を後にする俺に向かい、ちょっと、あんた、この新品をどれだけ鍛えるんだい!と叫ぶ。呼び止められるのも、無視して、店を出る。
彼女の視線も、ずっと感じていた。

帰り道、師の数歩後ろをとぼとぼと歩く。
値切ってこいと言われたにも関わらず、値引きもせずに、新品を置いてきて、噂の娘の前であたふたとしてしまい、この不甲斐なさの極みと言ったら無い。
きっと、今回の件で師から、役立たずだと見離されたに違いない。
はぁ…。溜め息が零れる。
ジリッと音がして、師は立ち止まり、振り返る。俺も合わせて立ち止まる。
「記憶が正しければ、あの店主のかみさんは、お前の母親だ。」
頭上の夜空で流れ星が一つ、流れるのが、俺はわかった気がした。



次ページ
続きを表示
1を表示
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch