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前世物語 第二部乱世編 第五十一話 握飯 その三
浪人の主家、南の馬鹿者共が戦いに敗れ落ちのびていた頃、主家に見放さ
れた草の坊主と間者の希人は進退窮まってしまった。
希人は敵方、東の馬鹿者共への寝返りを画策し、坊主と袂を分かつ。
希人は坊主の存在を危険と感じ、東の馬鹿者共の更に敵である天主側に坊
主を売る。
坊主は捕縛されたものの、惚けた口調と証拠のなさから釈放される。
もっとも天主側に坊主一人をかまう余裕が既になかった。
やがて、敵方、東の馬鹿者共が郷に攻め入り、私達は焼け出された。
希人は結局東の馬鹿者共には信頼されず、この時処刑された。
私達が一揆を画策している時、東の馬鹿者共がその一揆の情報を掴んでい
ることを坊主は知っていた。
このままでは一揆は返り討ちに会う。
だが、坊主は私達には何も話さなかった。
一揆に乗じて、東の馬鹿者共の手が空いたところを南の馬鹿者共が襲う、
ただそれだけのために。
一揆は失敗した。南の馬鹿者共も行動を起こせなかった。
第五十二話へつづく