07/03/08 19:28:04 aOn1V+DpO
信じようと、信じまいと―
都内の大学で仏文を専攻している中野(仮名)くんは、ある日、バーで知り合ったフランス人と、映画に関する話で盛り上がった。二人ともかなり呑んだ頃、フランス人が、奇妙な話をはじめた。
『英国作家の書いた、魔法使いの少年の物語には、普通では知りえないモノの記述があり、その部分は影像化も、外国語に翻訳されてもいない』と。どうやら彼はそれを確認したようだ。
中野君が、別れ際にフランス人に名を尋ねると、彼は、『私はロアの僕だった。今日、私は解放されたのだ』と晴れやかに言い放つと、人混みの中に消えていった。
中野君は、映画サークルの友人にこの話をした半年ほど後、突然海外に旅立ち、今は各地を転々としているらしい。
信じようと、信じまいと―