07/03/06 14:00:25 lpliUehB0
クネクネクネクネクネクネ
くねくねは悠久とも思える時を、ただクネクネしながら生きていた
近寄るものはみな等しく息絶えてしまった・・・
神、化け物、この世にあらざるもの、そういった呼ばれ方をしながらくねくねは生きてきた
ある日、一人の若者がくねくねに話し掛けた
「すみません、この辺にどこか腰を据えて休める場所は無いでしょうか」
くねくねは驚いた、生まれてこの方、自分に話し掛けたものなど居ないからだ
「あなたは何者?なぜ私を見ても平気なの?怖くないの?」
クネクネクネクネクネクネ。相変わらずくねくねしながらくねくねは問い掛けた
すると男はこう答えた
「私は生来目が見えません、ですがその代わりに人の本質が判ります
あなたから畏怖は感じず、寂しさとやさしさが伝わってきます」
くねくねは、慟哭した、はるか昔に忘れ去っていた感情がよみがえった
寂しかった、だから誰かと話したかった、しかし近寄った物は皆・・・
「もし、何か私がお気に触ることを申しましたでしょうか?」
狼狽する男の胸に、くねくねは寄りかかりその胸で泣き明かした
いつしか、体がくねくねすることはなくなっていた
F県のとある山奥、人里離れたその場所に
かつて、目の見えない夫と、とても綺麗な白い肌をした夫婦が中むつまじく暮らしてたそうな・・・