06/11/26 21:40:33 hMvXmIsT0
>>481-482 書くの早いなw コンパクトでかつオモロイし。……それではオイラもレスほど。
冬も近づき、朝夕はめっきりと冷え込むようになった今日この頃。
離れにある自室に暖房器具を導入しよう、と考えた僕は庭の隅にある土蔵に向かった。
別に「物置」を書き間違えたわけでは無い。僕の家は無駄に歴史のある旧家であり、
城下町であるこの近辺においても一際アナクロな存在感を放つ武家屋敷なのだ。
口さがない友人達は「殿様みたいだ」と羨ましがるが、そんないいものじゃない。
古い木造建築内における冬の寒さを知らない奴らだからそんなことが言えるのだ。
どこからともなく入ってくる隙間風。毎年張り替えさせられる障子紙。
鍵もかからない襖部屋にはプライバシーなどという上等なものは存在せず
友人に借りたエロDVDを観賞するにも細心の注意を払わねばならない有り様だ。
高校進学と同時に、両親に頼み込んで自室を母屋から離れに移したのも
少しでもそういう気詰まりを解消したい、というのが主な理由だ。
用がある際に呼びかけるのが面倒だと母親は不満気だったが、このときばかりは
父が妙に物分り良く賛成してくれたおかげで事なきを得た。
あの時は、親子間というよりは「男同士」にしか分かり合えない紐帯を感じたものだ。
かくして、僅かばかりプライベートなスペースを手に入れたはいいものの、
やはり寒さは如何ともし難く暖房器具探しと相成っている、という状況である。
「確かこのあたりにあったはずなんだけどな」
ガラクタをかき分けつつ、昨年の春に片付けたコタツを探す。
大した苦労も無く平凡な構造の電気ゴタツが見つかり、埃を払いながら引っ張り出す。
コードや説明書などを確認して、離れに戻ろうとした時。視界の隅に青くて丸いものが映った。
「……なんだろ。植木鉢?」
近寄ってまじまじと眺めてみると、それはどうやら火鉢と呼ばれるものらしい。
ご丁寧に灰かき棒や炭も内部に置いてあり、灰さえ調達すればすぐに使えそうだ。